「警察庁は「社会の関心がさらに高まり、潜在化していた部分が出てきたのではないか」とみている」という。それもあろう。しかし、日本国内での生活が厳しいのかも、という想像、というか考えは、チラッとでも持ったほうがいいと思う。
つい最近、湯浅誠さんの『反貧困』(岩波書店、2008年)という本を読んだ。正直、派遣村で有名になったので、流行に乗るようで、かえって読む気がしなかったものだ(もっとも、流行に乗ってみようとして読むこともあるが、『反貧困』は気が進まなかった、ということ)。
しかし、ある意味、派遣村騒動は必然であることが分かる本である。
失業したくらいで、なんで路上に出なければならないんだ? と、大抵の人は思ったと思う。しかし、雇用保険受給率が下落傾向にある(『反貧困』p25図4)ことから、不思議な事ではなく、構造的な問題だということが理解できる本である。「働けるのに働かない人に、お金をあげてはいけません!」などとはしゃいでいる、鈴木亘・学習院大学教授みたいなレベルの低い話ではない(「読まないで 批判した鈴木 亘さん」(http://blogs.yahoo.co.jp/kiyotaka_since1974/53199169.html )参照)。
話はそれたが、『反貧困』p50によると、「『二〇年以上に渡る調査や研究を経ても、児童虐待やネグレクト(カッコ内略)が強く貧困や低収入に結びついているという事実を超える、児童虐待やネグレクトに関する真実は一つもない』」という、リーロイ・H・ベルトンさんのコメントが載っている。
私は詳細に調査したことがないので断言は控えるが、人がそれなりにお金や物を持ち、時分にそれがない場合に、ストレスになることぐらいは想像できるし、それがおかしいとも思わない。
少々根拠が弱いことを承知で書くと、児童虐待という文字を見つけたら、貧困をイメージし、虐待した人も苦しいんだろうな、という想像をしたほうが、リアルかもしれない。もちろん、虐待された子どもは可哀想で、虐待した奴は許せないのだけれども。