まず、当ブログ内で、「朝鮮学校」で内容検索をした結果を示す。
その後も色々考えたが、何度考えても、朝鮮学校に、いわゆる高校授業料無償化、すなわち、高等学校等就学支援金、の対象外にするのは、無理である。
文部科学省HPに、平成24年(2012年)12月28日金曜日に行われた、下村博文文部科学大臣の定例記者会見の映像がある。http://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/1329446.htm
活字にもなっているので、それのみ検討する。
「現時点での指定には国民の理解が得られず」が、まず、教育を受ける権利という人権をまるでわかっていない妄言である。人権は、国民の理解がないと得られないものではない。オウム真理教教祖みたいに、サリンを撒いて無差別に人を殺せ! と命令した(と疑われる)人にも、弁護人選任権があるのと同じである(憲法第37条第3項。もっとも、教育を受ける権利の内容は、弁護人選任権とは異なり国の立法裁量は広いが)。
「朝鮮学校が都道府県知事の認可を受け、学校教育法第1条に定める日本の高校となるか、又は北朝鮮との国交が回復すれば現行制度で対象と成り得る」も、事実誤認だろう。そもそも各種学校なのだから、都道府県知事の認可があるのだ(文部科学省HP「2.1 インターナショナルスクールとブラジル人学校の現状」(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kokusai/011/attach/1319310.htm)
によると、「インターナショナルスクールやブラジル人学校の他、朝鮮学校やフランス人学校、ドイツ人学校等も含めると、平成23年5月現在、127校の外国人学校が各種学校(定義は、文部科学省HPにて。http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/senshuu/1280734.htm
として認可されている」とのこと)。そもそも、「学校教育法第1条に定める日本の高校とな」らなくても高等学校等就学支援金の対象になっていたのだ(文部科学省HP「公立高校授業料無償制・高等学校等就学支援金制度 高等学校等就学支援金制度の対象として指定した外国人学校等の一覧」(http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/1307345.htm)
)。
「1条校化するということは、つまり日本の学校制度の中に入って努力するということについては、今は朝鮮高校側は検討しているようには聞こえてはまいりませんが、そういう方法があるという方法論を申し上げているわけであって、子どもには罪がありませんから、それはそういう民族差別をするわけではないということで、あえて申し上げ」ても、学校教育法第1条の高等学校でなくても適用されているわけだから、意味もなく、「民族差別」にすぎない。ところで、文部科学省HP「公立高校授業料無償制・高等学校等就学支援金制度 高等学校等就学支援金制度の対象として指定した外国人学校等の一覧」(http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/1307345.htm)
に載っている学校がどう「日本の学校制度の中に入って努力」したのだろう(財団法人自治体国際化協会 多文化共生ポータルサイト「外国人学校を知る」(http://www.clair.or.jp/tabunka/portal/grow/elementary_school.html)
「朝鮮学校についてはその内容も分からない状況で今日まで来た」なんて言ったら、日本の行政って、無能だね、で、おしまいだろう。イダヒロユキさんの『ソウル・ヨガ』「「高校無償化」制度から朝鮮学校を排除」(http://blog.zaq.ne.jp/spisin/article/3467/)
によると、「(ハ)については、文科省の定める審査規程にもとづき、「高等学校の課程に類する課程」を置いていると認められれば文科大臣が指定することになっていました。その審査規程が公表されたのが2010年11月でした。専修学校の設置基準相当の指定基準であったため、それにもとづいて朝鮮高級学校を審査すれば指定されることは明らかでした。ところが民主党政権下で朝鮮学校の審査は不当に引き延ばされ続け、その挙げ句に、バトンを渡された自民党新政権がこの(ハ)規定自体を削除することにした」は、おそらく間違っていない。2年かかっても審査できないというのは行政手続法第7条「遅滞なく」とは程遠いだろう。
記者の「同じ枠組みで、コリア学園など2校を指定していますけれども、そことの不公平感というのはどうなんでしょうか」に対して、下村博文・文部科学大臣は「それは外交上、それだけのですね、既に学校教育等を調査した結果の上での判断ですから、それは対象から外さないということでございますが」も、おかしい。「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行規則の一部を改正する省令案に関するパブリックコメント(意見公募手続)について」(http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=185000617&Mode=0)
をご覧頂きたいが、省令案の概要をクリックすると、「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学
支援金の支給に関する法律施行規則(平成22年文部科学省令第13号)第1条第1項第2号」の(ハ)を削除するが、「現時点で、(ハ)の規定に基づく指定を受けている外国人学校については、当分の間、就学支援金制度の対象とする旨の経過措置を設ける」とのこと。しかし、「現時点で、(ハ)の規定に基づく指定を受けている外国人学校」と、朝鮮学校の何が違うのだろう? 2年以上かけても審査できない無能な文部科学省にわかるものか。清高調べで、東京朝鮮中高級学校(http://www.t-korean.ed.jp/_userdata/curriculum.pdf)
、広島朝鮮初中高級学校(http://www.hiroshima-corea.ed.jp/gakkouannai.html)
、高等学校学習指導要領(http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2011/03/30/1304427_002.pdf)
を比較した限りでは、「高等学校の課程に類する課程」と認定できるけど。
ウソや基本的な法概念の無理解を用いて、朝鮮学校を差別した、文部科学省の現在のトップ、下村博文さんの即座の辞任を勧告したい。それが嫌なら、パグリックコメントなどしなくていいから、即座に現在の公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行規則(平成22年文部科学省令第13号)第1条第1項第2号の(ハ)を朝鮮学校に適用して、就学支援金を支給すべきである。
*ウェブサイトの内容は、2013年1月15日現在。