2013年2月4日 11時8分配信のMSN産経ニュースの見出しは、「韓国でまた捏造? 「関東大震災の虐殺朝鮮人の写真」と研究家が主張 写っている犠牲者は吉原遊女か」。
記事によると、「韓国の聯合ニュースは3日、韓国記録写真研究家のチョン・ソンギル啓明大東山医療院名誉博物館長(72)が「関東大震災で虐殺された朝鮮人を撮ったと推定される」として同通信社に提供した写真を公開した」が、その「写真が東北芸術工科大学東北文化研究センター(山形市)のアーカイブスに明治44年の吉原大火の際の写真として、「新吉原公園の惨状」という説明をつけて収められている」んだって。
せいぜいこの話で問題になるとすれば、チョンさんの写真の信用性がない、ぐらいのものだろう(以下においても、実際そうだと清高が判断しているわけではない)。
しかし、MSN産経ニュースの記事には、気になる点が。以下、引用する。
私の手元にある、山川出版社『詳説日本史』(1993年)によると、「地震と火災による大混乱の中で、『朝鮮人が暴動を起こした、放火した』と言った流言がとびかい、政府も戒厳令を公布して軍隊・警察を動員したほか、住民に自警団をつくらせた。関東全域で徹底的な『朝鮮人狩り』が行われ、恐怖心に狩られた民衆や一部の官憲によって、数千人の朝鮮人と約200人の中国人が殺害された」とある。
には、当時の新聞や警視庁のビラまである。
山崎今朝弥『地震・憲兵・火事・巡査 』(岩波文庫、1982。アマゾンでは、http://www.amazon.co.jp/%E5%9C%B0%E9%9C%87%E3%83%BB%E6%86%B2%E5%85%B5%E3%83%BB%E7%81%AB%E4%BA%8B%E3%83%BB%E5%B7%A1%E6%9F%BB-%E5%B2%A9%E6%B3%A2%E6%96%87%E5%BA%AB-%E5%B1%B1%E5%B4%8E-%E4%BB%8A%E6%9C%9D%E5%BC%A5/dp/4003316010)
にも書かれているようだ(見出しから。ただし、清高未確認(p219から。清高補足))。
これらからすると、「チョン名誉博物館長が提供した写真」が「朝鮮人虐殺を裏付ける確固たる証拠」とは言えないとしても、一般論として「朝鮮人虐殺を裏付ける確固たる証拠はない」というのは極めて難しいものと思われる。
どうも、写真の真偽と、朝鮮人虐殺の有無は、分けて考えたほうがよさそうだ。この意味で、MSN産経ニュースの「日本に関しては何をやっても許される“反日無罪”が甚だしい韓国。写真展を通して“朝鮮人虐殺写真”として韓国中に広まり、いつの間にか“事実”として定着してしまうかもしれない」は、ミスリードを誘う書き方だと思う。