清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

まだ問題が 続いているよ ヘイト・スピーチ

2015年7月5日21時からBS-TBS で放送された「週刊報道LIFE」(http://www.bs-tbs.co.jp/syukanhoudou/life/

)の特集、「ヘイト・スピーチは今」が興味深い内容だったので、紹介する。
 
冒頭、同日午後の札幌市の画像から。それによると「早く韓国が消滅しますように」とある。日本のお客さん(日本と韓国間の貿易は、恒常的に日本の貿易黒字。外務省アジア大洋州局日韓経済室「韓国経済と日韓経済関係」(平成27年6月。http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000005986.pdf#search='%E6%97%A5%E6%9C%AC+%E9%9F%93%E5%9B%BD+%E8%B2%BF%E6%98%93';
)になんていうことを言うんだ、バッカじゃないの?と思ってしまった。
 
2015年6月22日、日比谷公会堂で、桜井誠(以下も敬称略)の講演が行われていたが(「日韓断交を求める国民大集会」)、桜井は「韓国との縁を断ち切るべき」と主張。その桜井、2012年8月に、新大久保で「日本社会のゴミ、ダニ、ウジ虫の在日韓国人を、駆除、処分」と言った映像も見た。そういうことを公言する人が当てはまると思うんだけど。
 
戻って日比谷公会堂村田春樹曰く「植民地支配はお前たち(韓国人。筆者注)のヒステリー」だって、じゃ、日本の歴史学者の大半もそうなっちゃうけど。瀬戸弘幸(「行動する保守」)曰く「在日は不正に入国」とのこと。この辺りは『在日朝鮮人ってどんなひと?』(徐 京植、平凡社、2012)を見ると、事情がある場合が多そうだということがわかるので、瀬戸の見解は浅薄である。桜井はまた「帰化含め在日(韓国・朝鮮人。筆者注)100万人の日本人がひっかき回されている」って、そんな事実見聞しないけど。
 
このように、ヘイト・スピーチはまだ続いているようで、2015年7月5日には、札幌、東京、神戸でデモが行われ、「今週(おそらく、2015年6月29日からだと思う。筆者注)で10回の排外デモ」が行われたという。
 
ゲストの安田浩一のヘイト・スピーチの定義は、「人種、民族、国籍、性などのマイノリティに対して向けられる差別的な攻撃」だが、それだと南アフリカには存在しないことになるのではないか(黒人が多いが、差別されていた。外務省HP「南アフリカ基礎データ」(ただし、平成27年6月30日現在。http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/s_africa/data.html
)?つまり、定義として不適当なのではないか?Yahoo!辞書検索「ヘイト・スピーチ」(http://dic.search.yahoo.co.jp/search?p=%E3%83%98%E3%82%A4%E3%83%88%E3%82%B9%E3%83%94%E3%83%BC%E3%83%81&stype=full&aq=-1&oq=&ei=UTF-8
)で一見できるように、「マイノリティ」の要件は外したほうがいい。
 
安田によると、ヘイト・スピーチする人は、右翼や民族派ではなく、「普通の人」だという。『“癒し”のナショナリズム―草の根保守運動の実証研究』(小熊英二/上野陽子、慶應義塾大学出版会、2003)を思い出してしまった(筆者のレビューはhttp://www.amazon.co.jp/review/R3JIN6SEEGWHKZ/ref=cm_cr_pr_perm?ie=UTF8&ASIN=476640999X
)。
 
レイシストしばき隊等のカウンターもあってか、新大久保では2013年9月以降はデモがないという。それはいいが、在日コリアンのリャン・ヨンソン(梁英聖)によると、「『朝鮮人殺せ』が楽しそう」など、胸が締め付けられるようなコメントが多かった。また、「在日が韓国や在日を嫌わないといけないと思い込んで、ヘイト・スピーチをする側に回ることが起きている」という。本当だとしたら、いじめみたいだ。また、京都朝鮮第一初級学校(当時)に対する威力妨害行為において、裁判所がヘイト・スピーチを人権侵害としたそうだが、それで万事解決というわけには行かず、代理人によると、「子どもたちは大きな声に怯え、夜中に一人でトイレに行けない」という。このように、ヘイト・スピーチを受けた側は後遺症(俗な意味で)が残るようだ。
 
番組によると、「保守系団体」は、2013年1月に行われた、沖縄の全市町村長らによる普天間基地の県内移設反対パレードでも「売国奴」だとか「日本から出て行け」と罵声を浴びせたという。また、被災者や生活保護受給者叩きもするという。全部同じ団体かは筆者未確認だが。
 
このようなひどい状態を見聞しているからか、全国144議会(都道府県、市町村)が、国に対して対策を求める意見書を提出したという。それに加えて、2014年8月、国連人種差別撤廃委員会が、日本政府に対しヘイト・スピーチの法規制を勧告。また、アムネスティ・インターナショナルも非難。しかし、日本政府は、公明党の要望書がきっかけか、実態調査を行うことに決めた、というのが、筆者の理解している現状である。
 
否定的評価一般はいけなくはないが、番組で取り上げられたことの大半は度を越していると思った。主張を聞いてもらうためにも、相手方に苦痛を与えないためにも、何らかの対策が必要だ、という印象だった。