清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

連盟の 誠意まだまだ 足りないよ

三浦弘行九段がスマートフォンでソフトの手を見て、その手を採用して勝ったとされる疑惑が決着がついた。御存知の通り、三浦九段にそのような事実はなく、日本将棋連盟は謝罪に追い込まれた。

 
詳しくは日本将棋連盟HP「第三者委員会調査結果を受けて」(更新:2016年12月27日 18:55。http://www.shogi.or.jp/news/2016/12/post_1492.html
)。
 
 
今思うと頓珍漢なところがあったかもしれないな。で、決着がついた現時点での見解を述べる。
 
まずは日本将棋連盟HP「第三者委員会調査結果を受けて」の検討。
 
最初に、「今回の件の発端は7月の関西の報告会での久保九段の発言が発端となってい」るとのこと。久保九段は勝負師なので自らが不利になる不正に厳しくなるのは当然。今回の件と関係ないが、以前、郷田真隆・現王将の時間が切れたとクレームを付けたことがあった(勝手に将棋トピックス「■[将棋界] 順位戦A級で対局中断し理事会裁定 久保利明八段が時間切れ勝ちを主張」(2006年12月6日。http://d.hatena.ne.jp/mozuyama/20061206/P20061206BYOYOMI
)参照)のを思い出した。
 
「10月11日以降の一連の動きにつきましては、この時点で週刊誌に三浦九段に関する記事が掲載されることが確定的である、という重い事実がありました。/渡辺―三浦戦で竜王戦の七番勝負を行い、第一局の一週間後に記事が出ることになりますと、大きな混乱を招くばかりでなく、竜王戦の中止という最悪の結果となる可能性もありました.。(略)/報告書にありますように、時間的な余裕も現実的な選択肢もほとんどない中で、やむを得ない判断ではありました」というのがさっぱりわからない。実際にはなかったが、三浦九段の不正が明らかな時点で何らかの処分をすればよかっただけの話。報道されていた離席状況や、ソフトとの一致率では、三浦九段がカンニングしたことの証明に全然なっていないことがなんでわからなかったのだろう?というのは、離席自体がルール違反という根拠もないし、ソフトと指し手が一致したというのは、それだけの話(ソフトの手を拝借した証拠とはいえない)だからである。日本将棋連盟の理事には、東京大学法学部卒の、片山大輔六段がいるが(http://www.shogi.or.jp/about/officer.html
参照)、片山レベルのリーガルマインドを発揮する機会すらなかったんだろうか?
 
ところで、三浦九段は、特例措置として今期のA級残留が決まったが、日本将棋連盟によると(「第三者委員会調査結果を受けて」によると)、「A級順位戦は特別措置として、今期は降級1名とし、三浦九段は来期A級の地位保全を致します。/具体的には三浦九段は1勝3敗の後は不戦局。1月からの7・8・9回戦も対局は行わず、対戦相手にだけ白星がつく形です。/降級は1名、B1からの昇級は2名。来期A級順位戦は11名で戦い、三浦九段はA級11位となります」という。三浦九段の意向を無視して展開すると、2016年12月31日までの出場停止が予めわかっているのだから(実際は新聞観戦記の都合かも知れないが)、2017年1月からの、7回戦から指させればいいのにと思った。そして、三浦九段が降級の成績の場合はカド番にし(降級1人)、残留の成績ならそのまま(降級2人)にすればいい。処分の取消(遡及効あり)はたぶん無理だから(不戦勝の屋敷伸之九段、行方尚史八段に罪・落ち度はない)、それに伴う賠償は金銭ですることとして。三浦九段は残留の可能性があった(日本将棋連盟HP「第75期名人戦順位戦 A級」(http://www.shogi.or.jp/match/junni/2016/75a/index.html
)参照。三浦九段の対屋敷、行方戦を不戦敗とすると、森内俊之九段との直接対局含め全勝すればチャンスがある)のに、それを奪って来季は不利なカド番というのはいかがなものか。
 
「朝日杯につきましては、三浦九段を除いた形で二次予選の抽選を行いました」とのこと。かつて谷川浩司九段(日本将棋連盟会長)は、渡辺明竜王の家族がインフルエンザにかかったことが原因で渡辺竜王の地位を継いでJT杯の2回戦から登場したが(当時賞金ランキング13位で出場できなかったが。対局を空けることはできなかったので仕方ない措置だったと思う。第29期竜王戦(今回)の、丸山忠久九段の繰り上げ挑戦と同じ。日本将棋連盟HP「第30回JT将棋日本シリーズ」(http://www.shogi.or.jp/match/jt/30/index.html
)、三浦九段が適当な位置から登場するというのは無理なんでしょうね。
 
「7月の対久保戦についての、トータルの離席時間は長かったと報告書に記載されております」については後述。
 
次は、筆者が任意で選んだ新聞記事から。産経ニュース「【将棋ソフト不正疑惑】
日本将棋連盟会見詳報「週刊誌に記事が…出場停止はやむを得ない判断だった」」(2016.12.27 21:49。http://www.sankei.com/life/news/161227/lif1612270044-n1.html
)に基づいて検討する。
 
「出場停止とされた三浦九段に対する経済的な補償などは/谷川会長「(略)三浦九段は“被害”を被った。そこでA級順位戦のA級保持という対応をとらせていただきます」って、それだけ?竜王戦に挑戦できたのだから、その対局料も出せよ、ということ。(以下、2016年12月29日追記。挑戦者+敗者の賞金、ならびに、朝日杯の対局料(棋士には対局義務があるので出場停止がなければ参加できた)を払うべきである。ただ、「不戦局」はよくわからないが、対局料は出るのだろうか?)
 
「三浦九段は竜王戦のやり直しを望んでいるが/島朗常務理事「竜王戦は、素晴らしい戦いが行われて終了しました。今期の竜王戦はもう成立したということです。三浦さんには来期、今回と同じ組でご登場いただくことになると思います」は、仕方ないと思う。丸山九段に罪・落ち度はないのだから、対局料返還その他を求めることは不可能だろう。
 
青野照市専務理事「三浦九段が30分も離席していたという指摘がありましたが、その場面は実際には6分、3分、3分でした。対局相手の棋士には、錯覚があったのでしょう」って、凄いことが判明したな。疑惑の発端とされる事実がなかったわけだから。記事の続きを読むと「三浦九段の30分の離席が事実ではなかったことはなぜ判明したのか/島常務理事「囲碁将棋の専門チャンネルの映像があったのです(以下略)」というのは、将棋プレミアムで中継したということだろう。囲碁・将棋チャンネル・将棋プレミアム「第29期竜王戦/決勝トーナメント/久保利明九段(1組2位) 対 三浦弘行九段(1組3位)」(http://www.igoshogi.net/shogipremium/live/live_info.html?live_id=f31b07a6f4388aa040f729362b91d2ab
)参照のこと。ただ、相手(久保九段)も集中しており、そういう錯覚はありうるが。
 
今回の件を筆者なりに総括すると、そもそも三浦九段に対する処分の原因となる事実が根拠薄弱の無茶苦茶なもので、日本将棋連盟も少々誠意を示しているが、現状ではまだまだ足りないと感じた。妥当な解決をして、三浦九段の逆襲(?)を見たいものだ。
 
*文中敬称略。