どんな新聞にもトンデモ論文の類は載るものだが(各自調べてね)、読売新聞2019年5月5日統合版12版17面の、岡本行夫さん(外交評論家。元外交官)の「教養と哲学が物を言う」というのもそれである。
記事によると、
①ジョージ・ブッシュ(父)大統領は、「昼食会で、当初の出席者リストにない経済官僚」を並べたが、「経済には一つも触れなかった」ことを評価している。
②湾岸戦争時に「海部首相は、危険なところに日本人は出せないと内外に宣言してしまった」ので、日米関係が崩壊した。
④一方、安倍首相は「トランプ大統領と緊密な関係を築けている」という。
⑤金大中大統領が来日して歴史的な和解演説を行った「直後に来日した中国の江沢民国家主席」は「過去の歴史に対する反省を文書にせよと迫り、小渕首相を怒らせてしまった。/日中関係はこの後、坂を転げていった」という。
⑥結論としては「国力以上に首相本人の教養と哲学が物を言う」という。
途中飛ばしたところはあるが、岡本さんが非難している人が教養も哲学もないようには見えない。
筆者が読んだ限りでは、「アメリカ、日本、東アジアの序列をわきまえろ」という風にしかめなかった。もっとも、①のように、上位国が寛容を示すことも高評価のようだが、それなら⑤の「小渕首相」は非難されるべきだろうな。
しかし、「序列をわきまえろ」のどこが「教養と哲学」なのだろう?
筆者の感覚では、正義にかなう言動の方が「教養と哲学」に合致するのだが。