清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

妥当と疑問が交じり合う山口県光市の母子殺害事件に関する最高裁判決

山口県光市の母子殺害事件の最高裁判決が出た。主文は第2審の広島高等裁判所へ破棄差し戻し。以下、私が妥当だと思ったところ、疑問を持ったところを述べる。

妥当だと思ったところ
1、第2審の広島高等裁判所へ差し戻したところ。事実認定に問題があるわけではないので、第1審の山口地方裁判所へ差し戻すまでもないからである。

2、「18歳になって間もない少年(行為同時18歳30日)だった事を死刑を回避すべき決定的事情とまではいえ」ないとしたこと。それを認めると、18歳5ヶ月でも18歳11ヶ月でもよくなる可能性があり、なし崩しになるから(もっとも、今までの事例で考慮したことは少年の更生可能性を汲んだものとして評価できよう)。

疑問に思ったところ
1、仮に死刑という結論になるとしたら、殺人に関して計画性がない(故殺。謀殺と分けられている立法例もある(たとえばドイツ、フランスなど)にもかかわらず死刑にしてもいいのか。もっとも、この点は、私も研究が必要だと痛感している。

2、被害者の声や国民の処罰感情で「従来の基準で言えば、無期懲役相当」の事件を死刑にするのは法の下の平等憲法14条)に反するのではないか。

なお、最高裁昭和58年7月8日刑事判例集37巻6号609頁(いわゆる永山事件)の基準から何らかの変更がなされたというトーンの解説があるが、もしそうなら裁判所法10条3号(法律の適用について、意見が前に最高裁判所のした裁判に反するときには小法廷で裁判することが出来ない。今回の判決は第3小法廷)違反になってしまうが、そんなことはなく、永山事件と同じ基準で判断したと解するのが妥当だろう。

参考資料
読売新聞(http://www.yomiuri.co.jp/)2006年6月21日
大塚仁『刑法概説(総論)第3版』