清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

受け皿が ないから厳罰 おかしいよ

2012.7.30 20:34に配信された上記MSN産経ニュース(上からアクセス)によると、「大阪市平野区の自宅で昨年7月、姉(中略)を刺殺した」男「に対する裁判員裁判の判決が30日、大阪地裁であった。河原俊也裁判長は、犯行の背景に広汎性発達障害の一種、アスペルガー症候群の影響があったと認定した上で「家族が同居を望んでいないため障害に対応できる受け皿が社会になく、再犯の恐れが強く心配される。許される限り長期間、刑務所に収容することが社会秩序の維持に資する」として、検察側の懲役16年の求刑を上回る同20年を言い渡した」という。

求刑を上回る判決自体には、何の問題もない。民事訴訟の処分権主義(民事訴訟法第246条)は、刑事訴訟では適用がないので。

しかし、「『アスペルガー症候群の影響は量刑上、大きく考慮すべきではない』」と指摘しているのに、「『障害に対応できる受け皿が社会にな』」いからと言って刑罰を重くするのはいかがなものだろうか?

犯した犯罪に相当した刑罰しか科してはいけないはずなのに(罪刑法定主義から要請される)、それと関係ない「『受け皿』」を理由として重くしてはいけないんじゃないか?

もちろん、裁判所が「『受け皿」」を作る義務は、ない。誰でもいいから(私含め。ゆえに、私に対して作らないことに関する文句は不可)「『受け皿』」を作るべき、となる。

実は、この話を知ったのは、産経新聞さんには申し訳ないが、読売新聞東京本社版2012年7月31日朝刊13版33面である。それに、犯罪学が専門の、諸沢英道・常磐大学教授のコメントが載っていた。諸沢さんいわく、「『社会防衛のため重い量刑とするとの判決は、罪に見合う刑を求める伝統的な責任主義からかなり踏み込んでおり(中略)犯罪被害者は一般的に被告の罪の意識や謝罪に関心がある。量刑が重ければ思いほどよいと考えているわけでは必ずしもない』」とのこと。

諸沢さんのコメントは読者の皆様にも噛み締めてほしい。もちろん、犯罪被害者(遺族含む)が個別の事件で刑罰を重くすべしというのはいいのである。しかし、裁判官・員がそれを考慮するか、また、読者がそれを支持するか、は、慎重に考慮すべきなのである。