あらかじめお断り。筆者は将棋ファンですが、タイトルの敬称を略しました。
さて本題。第80期順位戦が、2022年3月10日10時対局開始のC級2組で終了した。結果は、日本将棋連盟HP「名人戦・順位戦」から、「順位戦対戦表」をクリックされたし。
ご存じの通り、羽生善治九段(十九世名人等、永世七冠資格者)がA級から陥落した。そして、現時点で、来期のB級1組(以下においては、「B1」のように略記する)参戦を明言していない*1。産経ニュース「順位戦A級陥落の羽生九段、『まず今期の将棋を総括』 来期の明言避ける」(2022年3月4日0時8分)。
をご一読。
https://www.shogi.or.jp/player/pro/175.html によると、1970年9月27日生まれの、2022年3月11日現在51歳である。来年からフリークラスになると、2035年9月27日に現役引退が決まってしまう。日本将棋連盟HP「名人戦・順位戦 順位戦について」
https://www.shogi.or.jp/match/junni/rules.html によると、「宣言によるフリークラス棋士は原則として65歳」で引退になるからである*2。なお、羽生九段の場合、「順位戦在籍可能最短年数」*3は8年*4で、それから15年を加えた年数の23年となるわけではなく、「上記年数に達しなくても、65歳になると引退になります」*5となるからである。
お~いお茶杯王位戦やALSOK杯王将戦*6でリーグに入るほどの実力がある羽生九段がフリークラス宣言をするというのは、よほどのことがない限り考えられないし、合理的ではないと思う。もっとも、羽生九段が決めることではあるが。
一方、例えば、王座1期のタイトル経験のある、塚田泰明(やすあき*7)九段の動向を個人的に注目している*8。塚田九段は1964年11月16日生まれの57歳。もし来季の第81期順位戦で降級点を取ると現役生活は原則として2024年11月16日までとなってしまう*9。宣言すると2029年11月16日までは現役でいられる*10。塚田九段は第79期と第80期で連続して降級点を取っているので、決めるのは塚田九段だが、私が塚田九段の立場であれば考え込んでしまうところである。
このように、プロ将棋におけるフリークラス制度というのは、究極の選択のように見える。
なお、本エントリーでは、羽生九段と塚田九段を特に取り上げたが、すべての将棋のプロ棋士の皆さんの健闘を祈って終わりとする。
*1:妻の羽生理恵さんのTwitterアカウント@yuzutapioka 2022年3月3日23時55分のツイートには「すわ進退示唆かと興味を持って見られるのは羽生を心配して下さっているのだと前向きに捉えます」とある。
https://twitter.com/yuzutapioka/status/1499397991626842112 。インスタグラムアカウント(
https://www.instagram.com/shogi_danshi/
)にも明言はない。
*2:付け加えると、参加している残りの対局は参加できる(リーグやトーナメントが不戦敗になるわけではない)が、次年度の棋戦は参加できない。日本将棋連盟HP「フリークラス棋士の引退について」(
https://www.shogi.or.jp/news/2010/07/post_307.html
)にあるように、「引退年齢に達していても、参加条件を満たしている棋士は次年度も該当棋戦のみに参加できます。尚、宣言によるフリークラス転出者には適用されません」となるからである。
*4:B1で1期降級、B2とC1で連続降級点で降級、C2で3期連続降級点を取ると、8期で順位戦に参加できなくなる。
*5:*3に同じ。
*6:2022年3月11日現在の棋戦名。
*7:現在B1の横山泰明七段は、「ひろあき」である。
*8:該当する棋士は他にいるが、C2で降級点を2個持っているタイトル経験者が塚田九段ただ1人なので(1個は南芳一九段)、本エントリーでは塚田九段のみを取り上げた。
*9:*2を読み直してほしい。引退が決まっても次年度以降の参加が可能な場合がある。
*10:*2参照。