足利事件で無期懲役刑を科せられ服役している受刑者が、新たなDNA鑑定の結果、犯人と別人の可能性が高いとされ、再審の可能性が高まったが、その前に(再審で無罪とされる前に)釈放されたという。
とりあえず、受刑者の方の釈放を祝する。
いろいろ言われているが、この事件の最大のポイントは、DNA鑑定の精度が低かったことだろう。
ただ、現在のDNA鑑定の精度が高まったからといって、DNA鑑定さえあれば決まりというわけではない。提出された証拠を検討して、疑わしきは被告人の利益に判断するという基本は忘れてはならないだろう。
ところで、ちょっと話がずれるが、どうしようもない話を一つ。
読売新聞2009年6月5日朝刊3面(仙台では)によると、麻生太郎内閣総理大臣が「一概に可視化すれば、直ちに冤罪が減るという感じはない」といったという。
もちろん、その通りだが、だから可視化しなくていいということにはならない。この事件では、私見ではDNA鑑定の精度が低いのが一番の問題だが、受刑者の自白採取段階における人権侵害(厳密に検証したわけではないが、起こりやすいのは常識)は、仮に冤罪がなくても進めるべきことだ。この程度のこともわからないのでは、内閣総理大臣としての適格を欠くだろう。あすにでも解散したほうがよいかもしれない。