清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

被害者を 守ろうとして 間違える?

秋葉原で起こった大量殺傷事件、弁護側が、被害者の供述証拠の証拠採用などに同意しなかったことが、読売新聞2010年1月29日朝刊13版30面(仙台では)で、吉良敦岐記者によって批判されている。遅くなってしまったが、今日はこれを検討したい(以下、カギカッコ内は、記事からの引用)。

吉良記者によると、「今回の裁判でも、公判前整理手続きで、検察側は事件を思い出さなければならない被害者の心理的負担を考え、供述調書の採用を求めた。だが、弁護側は採用に同意せず、負傷した10人全員が法廷で証言せざるを得なくなった。(中略)法廷に立つ被害者の心理的負担は大き」いとして、弁護側の証拠不同意を批判する。

記者としては、たしかに、「事実に争いがな」く、弁護側が証拠採用しても特段不利ではないと判断したのだろう。

私は供述調書を見ていないので本当はコメントしてはいけないのだが、あえてコメントすると、もし不利な内容だとしたら、弁護側が証拠採用を拒否しても問題あるまい。もし反対尋問権をあえて放棄して、重い刑罰になったら大変だからである。

所詮素人考えだからか、「『全国犯罪被害者の会』幹事の高橋正人弁護士」の意見を載せて見解を補充する。すなわち、「高橋正人弁護士は『被害者が証人尋問に出るといっても、法廷で泣き崩れる例もある。やむを得ない場合以外は、供述調書の採用を優先すべきだ』と弁護人の戦術」を批判する。

しかし、「次に掲げる場合に限り、これを証拠とすることができる」(刑事訴訟法第321条第1項本文)、「但し、公判準備または公判期日における供述よりも前の供述を信用すべき特別の状況の存するときに限る」(検察官作成の供述録取書の場合。刑事訴訟法第321条第1項第2号)、「但し、その供述が特に信用すべき状況の下にされたものであるときに限る」(警察官作成の場合。刑事訴訟法第321条第1項第3号)といった文言を検討すると、高橋弁護士の見解とは異なり、「供述調書の採用を優先すべき」ようには読めない。

私の調査不足もあるのかもしれないが、調査の限りでは、高橋弁護士説は問題だと言わざるを得ない。

唐突で申し訳ないが(実はアクセス数増加の秘策?)、光市事件の弁護団は、被告人を一所懸命弁護するあまり、被害者遺族のことを考えているのか?などの批判がなされる。しかし、それなら、犯罪被害者の利益を守ろうとするあまり、被告人の利益や命をないがしろにするのか?ということも批判すべきだろう。どちらも一所懸命に仕事をしていることは理解しているつもりだが。

最後に蛇足を1つ。吉良記者は、よほど自分の見解に自信がないのか(間違いとわかって書いてる?)、「ある刑事裁判官」に、「『立証方針が裁判員に理解されるものなのかどうかが鍵。共感を得られなければ、結局は、自分たちに不利な結果になる』」と言わせている。しかし、裁判員が理解すべきであり、共感ではなく、証拠に基づいて、疑わしきは被告人の有利に判断すべきなのである。