清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

時効のね 廃止に反対 しないけど

YOMIURI ONLINE「時効撤廃、スピード審議に疑問の声…遺族は歓迎」(2010年4月27日17時55分 読売新聞。同日アクセス。http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100427-OYT1T00728.htm
なお、グーグルニュースで検索したところ、上記YOMIURI ONLINEの記事がいいと思ったので、あえて採用したと特記する)によると(以降のカギカッコ内は、断りのない限り上記YOMIURI ONLINEから引用)、「殺人などの刑事事件の公訴時効を廃止・延長する改正刑事訴訟法が27日午後に衆院本会議で成立し、即日施行の方向で調整が進んでいる」という。

私は、時効の廃止に反対する者ではない。しかし、いくつか疑問が。

その前に、上記YOMIURI ONLINEについての特記。「今回の改正法は、自公政権の時に法務省内の勉強会がまとめた案に沿ったもので、野党時代の民主党は時効の廃止・延長に慎重だった。今回、民主党は早期成立を目指し、自民党も審議を延ばさなかった。ある法務省幹部は『審議に時間がかかれば、次々と時効が完成する事件が出てくる。参院選に向けて、民主党は早期成立を手柄にしようとし、自民党は失点しないようにしたのだろう』と語る」は、紙で読んでいる私に言わせると、自民党ヨイショ、民主党なんでもダメ、の読売新聞らしい文章である。

さて疑問点。

第1に、上記YOMIURI ONLINEには2つあるうちの、「〈1〉時効が成立していない過去の事件にもさかのぼって適用するのか」の部分。「日本弁護士連合会の山下幸夫・刑事法制委員会事務局長代行は『近く時効を迎える事件のために法制度全体の改正を急ぐのはおかしい』と、不満をあらわにした。日弁連が特に問題視していたのは、過去の事件にも今回の見直しを適用するという点で、山下弁護士は『憲法学者らも呼んで意見を聞くべきだった』と批判している」というところは、とりわけ傾聴すべきだろう。

第2に、時効廃止はいいが、刑事関係のほかのトピックス、具体的に言えば、取り調べの全面可視化や、死刑廃止の議論は一向に進んでいないことである。加害者(厳密には違うが)の人権を声高に(実は正確に解説しようとしているにすぎない)叫ぶ人を「人権派」(ここは強調)と蔑む人がいるが、日本の政治状況も大して変わらない。つまり、一方方向(被害者の権利に有利)の制度は(不十分ながらも)どんどんできるのに(もっとも、これ自体は悪くない)、もう一方の方向(加害者に有利になる可能性があるが、実は当然の人権配慮)の法改正が進まないのでは、蔑まれるイメージとしての(不正確な)「人権派」(ここは強調)と大して変わらない。速やかに、可視化と死刑廃止を議論すべきである。

最後に、「『被害者だからと言って大きな顔をするな』といった中傷」は最低であり、論外である。