清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

無知ゆえに 死刑存置を 主張する?

1.執行停止して議論を喚起せず、死刑を執行して売国奴となってしまった千葉景子法務大臣のことについて、昨日エントリーしたので(「売国奴に 成り下がったよ 千葉景子 」(http://blogs.yahoo.co.jp/kiyotaka_since1974/50931577.html
)、ついでだから、死刑についてさらに考察してみる。

2.最近、浜井浩一『2円で刑務所、5億で執行猶予』(光文社新書。2009)という本を読んだが、データを用いて、刑事政策に関する一般人の常識を覆す出来がいい本であった。

その本の中に、「誰が死刑を支持するのか?」(p193)と題する段落があり、興味深い記述があるので、紹介しつつ検討する。

その段落によると、「離婚経験のある人のほうが死刑を選択しやす」(p193。「アメリカのフロリダ州などでの陪審研究」)く、「格差社会を肯定し、ホームレスは自業自得と考える人/治安の悪化を憂い、犯罪不安の強い人/刑罰の抑止効果を信じている人/裁判所は選挙で選ばれた議員に対して不信感を持っている人/防犯のためにはプライバシーの犠牲はやむを得ないと思っている人/が死刑を支持しやすく、その逆である人が死刑は廃止すべきと考える傾向にあ」(p194。浜井浩一さん「が2006年に実施した世論調査」。『論座』(朝日新聞社)に載っていた記憶がある)り、さらに「社会保障に対する信頼感があり、将来の生活に対する不安感が少なく、専門家が犯罪対策に対して科学的な態度を維持している」(p195。ニュージーランドの犯罪学者プラット教授の研究)と、死刑廃止を支持する傾向があるという。

たまたま死刑廃止を支持している人が多いだけかもしれないが(全世界で世論調査をしたら、おそらく死刑存置論者が多数と思われるから。日本犯罪社会学会(編)『グローバル化する厳罰化とポピュリズム』(現代人文社。2009)に、アジアにおける死刑存廃の世論調査のデータがあったが、どこの国も死刑存置が多数だった)、なかなかのデータだとも思った。

要は、ストレス(「離婚経験」)だったり、無知(「ホームレスは自業自得」(仕事はいす取りゲームであることにつき、生田武志『貧困を考えよう』(岩波ジュニア新書。2009)、アカロフ/シラー『アニマルスピリット』(東洋経済新報社。2009)参照)、「治安の悪化」、「刑罰の抑止効果」)だったりが、死刑存置に賛成する理由なのかもしれない、ということである。

3.浜井さんの体系書は聞かないが、体系書レベルではどう議論されているか。手元にある、藤本哲也『刑事政策概論〔全訂版]』(青林書院。1996。最新版での確認を請う)に基づいて検討する。

p126によると、「死刑存置論の論拠」は以下の通り(なお、「死刑廃止論の論拠」もあるが、本エントリーでは検討しない)。

「 嵜佑鮖Δ靴燭襪發里呂修寮弧燭鮹イ錣襪戮掘廚箸いΔ里蝋駝韻遼‥確信である

∪は青敢困砲茲譴弌国民の多くは死刑の存置を望んでいる

社会の応報観は、犯人が死刑に処せられることによって満足せられるものである

せ犒困鯒兒澆垢譴仍箏困増加する恐れがある

ト鏗下圓凌涜欧浪坦下圓死を以って贖罪したことにより満足するものである

λ|畚?琉飮?里燭瓩砲蓮∋犒困琉匈杜呂呂覆有効である

Щ犒困楼貅錣良要悪である

┿犒困鰐鬼鋙困鉾罎戮瞳佝颪かからない

優生学の見地からしても、改善不能の犯罪者は死刑に処したほうがよい

大多数の殺人犯人は、彼らの犯した罪の償いとして死刑を歓迎するものであるから、彼らの死ぬ権利を否定すべきではない

法の基礎である絶対的正義の見地よりして、死刑は故意の殺人犯に対する最も正しい刑罰である(以下略)」

私見は以下の通り。現状では、 銑は現状認識としてその通りとせざるを得ない。しかし、無知のせいではないか、という疑いは持つべきである。い魯如璽燭ないので保留するが、被害者遺族が直接手を下せるとすれば、悪いとはいえないかもしれない(遠藤誠『私は「悪者」に味方する』(ちくまプリマーブックス)を読んだが、遠藤さんは死刑廃止論者でも、あだ討ちを否定はしていない)。イ録佑修譴召譴如犯行態様軽視のデメリットがある。Δ郎拠なし。Г蕨棲亜┐賄?屮蹈亜峪犒困辰董,修鵑覆縫ネが かかるのか?」(http://blog.yahoo.co.jp/kiyotaka_since1974/47262798.html
を参照。はわからないが、たぶん論外。は犯人の自己決定権の問題で、死刑存置の根拠とはならない。は意味不明。

なお、加藤久雄さんや、岩井宣子さんの刑事政策の体系書も立ち読みしたことがあるが、どちらも結論は死刑廃止であった。本エントリーで取り上げた藤本さんもそう(藤本哲也『刑事政策概論〔全訂版]』p127)。浜井さんの本もそれとなく匂わせている。刑事政策の専門家に死刑廃止論者が結構いることも皆さんの参考になろう。