大阪地方検察庁特別捜査部で起こった証拠改ざん事件、一人の検事の暴走と思いきや、上司の犯罪隠避(刑法第103条)が絡み、組織ぐるみの犯罪の様相を呈してきた
由々しきことではあるが、このようなことは十分起こりうること。読者の皆様としては、検察側の証拠を健全に疑うべきであることを再確認した事件といえよう。
ところで、光市事件の弁護団が懲戒された事件、それをあおった橋下徹現大阪府知事が、2ヶ月の業務停止になったのはご存知のとおり。その弁護団の一人の安田好弘さんが、被告人に「偽証」(被告人の「偽証」は犯罪を構成しない)させたと騒がれたのを思い出す。
しかし、その可能性は、たぶんない。傷害致死罪(刑法第205条)ならば、死刑にはならないが、どちらにしても刑罰が科されるし、最高裁判所において、無期懲役判決を、検察側の上告を認めて破棄差し戻しされた事件なので、死刑の可能性が高く、何をしても無駄という側面があるからである。
一方、大阪地方検察庁の事件。部下が犯罪を犯せば、上司も絡んでいるのではないかとにらむのは仕方ないし(大阪地方検察庁の事件も現時点では当時の上司が逮捕されている)、有罪率99%超だし、無罪になれば喧しい批判が予想されるので、改ざんしてでも有罪にし、さらに犯人を隠避することは、容易に想定できよう(だから、今回の事件は有罪である、と言っているわけではない)。
報道を見ていると、今回の大阪地方検察庁の事件を、信じられない、と感じている人が多い。しかし、このようなことは、検察に対するプレッシャーが強い社会では、容易に起こりうることを認識したほうがよい。光市事件の弁護団の疑わしい疑惑に怒るのは無駄で、今回の大阪地方検察庁のような事件はまだあるものとして警戒したほうがよい。
*タイトル敬称略