清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

アメリカの 属国という 「ベストテレビ」

1.今年も、6月25日、26日の2日にわたって、NHKのBSで(チャンネルはBSプレミアム)、「ザ・ベストテレビ 2011」が放送された。昨年は5日間で9番組だったが、今年は2日、8時間30分で、7番組。早速、紹介と評価をしてみよう。

2. 癖錞?隋なお、 銑い2011年6月25日、ァ銑Г2011年6月26日放送)毎日放送「映像'10 きほうとみずき・大人の階段・車いすで駆けのぼる」(日本民間放送連盟賞・テレビ教養番組・最優秀賞)

脳性まひを患った姉妹、姉のみずきと妹のきほ。それぞれの自立を模索する姿を撮ったもの。企保は高校に通うが、車いす生活がネックとなり、美容師に採用されず、就職活動を休止する。妹より重度の障がいを持つみずきは、就職などをせず、支援センターに通いつつも、障害者年金で一人暮らしを始める。

ハンディであれ何であれ、できないことがあれば人はへこむものだ。その原因が何かで対処する方法や態度が変わるものだと思った。また、(どこでもそうだろうが)日本の場合、新卒時しかチャンスがないとはよく言われるもので、プレッシャーが強いものだと感じた。もちろん、親の暖かな見守りも感じさせる作品であった。なお、きほさんは、番組放送後、就職したという。

富山テレビ「BBTスペシャル 不可解な真実・黒部川ダム排砂問題」(日本民間放送連盟賞・報道番組最優秀賞。なお、FNSドキュメンタリー大賞も受賞している)

富山湾入善沖で劣化した魚が取れるようになった。その原因はヨコエビの大量繁殖と推測される(因果関係が証明されていない)。なぜそうなのか? 関西電力出し平ダムでは、ダム機能を維持するために(使い続けると砂がたまり、水が貯められない)排砂をする、日本初のダムなのだが、排砂により、ヘドロに変質した砂が富山湾に流れ、砂にある有機物のせいでヨコエビが大量繁殖し、エサが死骸だけでは足りず、刺し網漁で獲った獲物までやられているようなのである。国や関西電力は否定するが…

おそらく影響はあるのだろうが、そうだとしても難しい問題だ。電気を取るのか、魚介類を取るのか。裁判になっていたが、2011年4月に和解が成立した。電力会社は番組のスポンサーたり得るので、このような作品を作るのは難しいらしい。

NHKNHKスペシャル 二本の木」(ATP賞テレビグランプリ2010・ドキュメンタリー部門最優秀賞)

NHKでドキュメンタリー番組のプロデューサーをしていた小沢爽と、妻の千緒夫婦のがん闘病日記。まずは千緒の体に小細胞がんができた。治る見込みが立たず、高知県土佐清水市にある代替療法の施設に行ったりなど、あらゆる手段を試す。妻の看病中に、夫・爽も進行性胃がんに。それらを記録した日記を、片岡仁左衛門竹下景子が朗読し、それを息子2人が見学している。

聖路加国際病院が出てくるなど、キリスト教の影響が強い作品でもあるが、がん患者の心境の移り変わりが出ていて貴重な作品である。なお、『二本の木』は自費出版された本である。

NHKNHKスペシャル 密使・若泉敬沖縄返還の代償」(文化庁芸術祭賞・テレビ・ドキュメンタリー部門・大賞)

若泉敬は、沖縄返還時の密約について著作をあらわした(『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』(文藝春秋、1994)のち自殺した。その密約とは、沖縄返還に際して、有事の時は核兵器を持ち込めるようにするものだった。それで核の常備でなくなるとして返還に合意したが、実は沖縄の基地を自由に使える条項があり、それが基地の固定化につながったのではないかと若泉は自責の念に駆られる。本は出したものの、政府は否定し、国会でも追及されなかった。なお、鳩山由紀夫政権において、政府は密約の存在を公式に認めた。

この番組の通りならば、佐藤栄作内閣総理大臣は、ノーベル平和賞を受賞しても悪くはないと思った(核の持ち込みがなかったと推測されるので。アメリカはどこからでも核爆弾を発射できるらしく、日本に持ち込む意味はない)。ただ、なぜ沖縄の基地を自由に使わせるという条項があり、それにつき日本はなぜ強い主張をしなかったのかが、この番組ではよくわからなかった(もっとも、4番組目で、集中が途切れたかもしれない)。基地問題は、軍事的、地理的問題があり、難しいが、言えることは、鳩山由紀夫内閣が、沖縄の固定化を排そうとした時、アメリカ、官僚、マスメディアが結託してそれを阻止したということである。官僚や鳩山政権を批判したマスメディア関係者の中には、沖縄県民の心を踏みにじる国賊が跋扈していると言えよう(番組とは無関係になってしまった)。

ッ翩日本放送「笑ってさよなら・四畳半・下請け工場の日々」(“地方の時代”映像祭・グランプリ)

小早川弘江は、トヨタ自動車の車の部品を作る(ただし、本人たちはどの部分かは知らない。企業秘密ゆえ?)4次下請けの工場長で、従業員2人とともににぎやかに仕事をしている。トヨタ自動車と言えばかんばん方式で在庫を残さないことで有名だが、いわゆるトヨタショック(リコール騒ぎ)で、半年間ほとんど仕事がない状態に。その後、プリウスのヒットで仕事量が増えたが、仕事があるかどうか不安になった小早川は、2010年3月に廃業することを決意する。

4次下請けの不安定さや、かんばん方式の問題点を声高に追求した作品ではないが、ゆえに高評価を得たようだ。ただ、小早川曰く「工場を閉める痛み」は、残念ながら番組からは感じられなかった。それにしても4次下請けなんて、日本独特のものなのだろうか? 何とかならないものなのだろうか?

秋田放送NNNドキュメント 夢は刈られて・大潟村モデル農村の40年」(ギャラクシー賞・テレビ部門大賞)

秋田県大潟村は、大規模米作農業のモデル地域。しかし、アメリカから小麦を買わされた結果、コメ余り(米価安)に。政府は減反政策を行うが、財産をなげうってまで大潟村に入植した人の中には、厳しい反対をする人がいた。反対の人に対する政府の「嫌がらせ」は執拗であった。入植時の契約書を盾に、土地を買い上げ、最終的には裁判に訴えて強制的に取り上げた。自由米を売る会社に対しては、流通を止めようとした。2009年に民主党政権交代がされるが、関税をなくそうとしている。

腹の立つ内容だった。モデルを作り、入植者には財産を処分させておいて、大規模農業をさせない(米価安定の趣旨はわかるが)。「嫌がらせ」(法的根拠はありそう)をし、裁判所もそれを止めない(農家側に法的サービスが付いていればなぁ)。農家がコメの輸入自由化や、TPPに反対する気持ちはわかる。ただ、自由貿易はメリットが大きいことは、経済学の常識でもある。それにしても、小麦であれ米であれ、アメリカには逆らえない、日本の属国ぶりがよく出ている内容。ただ、大潟村民間の昔の対立(あったらしい)にはあまり触れられていない。

NHK広島「NHKスペシャル 封印された原爆報告書」(放送文化基金賞・テレビドキュメンタリー番組・本賞)

原爆が投下された直後から、日本は原爆被害の詳細を調査していた。しかし、公開されることなく、被ばく者に役立つこともなく、調査書がアメリカに存在することが分かった。著者書の中には、日本政府が認めていない、入市被ばく(汚染された場所に入って被ばくする場合)のことについて書かれた医学生のレポートもあった。しかし、それは被ばく者のために使われたことはなかった。なお、報告書は、アメリカの核戦略におもに使われた。

これも日本がアメリカの属国であることを表した作品である。本来は被ばく者を救うために使われなければならない調査書が、アメリカの人殺し(冷戦)のために使われていたとは。調査において、日本人医師の協力が窺われる内容でもあった。調査された人は、治るでもなく、アドレナリンテストなど、いわばモルモットだった。被ばく者の怒りの一端がわかる内容だった。

3.以上、紹介と感想を書いたが、客観的に優れているのは、おそらく△世蹐Α覆い蹐い蹐幣泙縫┘鵐肇蝓爾気譴討い拭法しかし、個人的に印象に残ったのは、い鉢Δ鉢АF鐱椶アメリカの属国であるということをまざまざと見せつけられたからだ。もっとも、国土の広さ、資源、人口、いずれもアメリカが日本に勝る。弱者として己の言い分を通すのはどうすればいいか、政治家や官僚は考えてもらいたいし、有権者としても考えて投票すべきだと思った。

*参照サイト

当ブログで「ベストテレビ」で題名検索した結果
http://blogs.yahoo.co.jp/kiyotaka_since1974/MYBLOG/yblog.html?fid=0&m=lc&sk=0&sv=%A5%D9%A5%B9%A5%C8%A5%C6%A5%EC%A5%D3

**参考文献
NHKサービスセンター『ステラ』(2011年7月1日号)p38、p42

***文中敬称略