清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

こんなでは 復権おそらく 無理だよな

読売新聞2011年10月10日朝刊12版13面(仙台では)に、文化部の植田滋記者が聞き手を務めた、八代尚宏国際基督教大客員教授の「新自由主義復権を」というインタビューが載っている。本エントリーでは、これを検討する。
 
最初から「震災後の計画停電の混乱に見られるように官の統制を強めれば経済が成長するとは思えない」という、とんちんかんな内容。計画停電をしなかったがゆえに停電になったら(なるかはわからないが、それは計画停電をするしないにかかわらず同じ)やはり混乱するわけで、「官の統制」如何とは関係ない。いきなり停電と言われれば混乱する、というだけの話。
 
規制緩和し民間企業を入れることで、成長の種はいくらでもある」かどうかは程度問題だろう。原則論としては悪くないが、全部撤退することだってあるだろう。「弱い立場にある(中略)非正規労働の人たち」とあるが、規制緩和したから「弱い立場」になったのではないのか? もっとも「新卒者」など、新規に労働市場に参入する人にとっては、規制緩和がいい場合もあり得るが。ただ、非正規雇用の人と正規雇用の人の格差を示すデータは、いちいち引用しないがあるわけで、これがいいことなのか、悪いとしてどうするのかは考える必要があろう。
 
「政府は、地元に残る人には手厚い支援をするのに、移る人は自己負担だ。被災者に一律に支援して、仕事があるところに移る人と残る人が同じ立場で選択できるようにすればいい」というのも怪しい。「一律」では、やはり地元に残る人に手厚いのではないか? 逆に、移る人に手厚くすると、残るという選択をなくしてしまうし。「一律」はあり得るが(「地元に残る人には手厚い支援」もあり得る。原状回復の点から)、少々強引な議論であろう。
 
新自由主義Yahoo!辞書の結果は、http://dic.search.yahoo.co.jp/search?ei=UTF-8&fr=slv1-tbtop&p=%E6%96%B0%E8%87%AA%E7%94%B1%E4%B8%BB%E7%BE%A9 。清高補足)という思想には、あまりに誤解が多い。例えば、市場原理主義など存在しないのに、日本では、それが新自由主義と同じことのように言われている。政府が要らないとか、環境を破壊してもいい、所得格差が広がってもいいと言っているというのは決めつけだ」については、私は判断できない。フリードマンの『資本主義と自由』すら読んでいないので。しかし、そう取られる原因があるのではないか?
 
織田信長楽市楽座のように、日本には昔から市場を大切にする伝統があった」のを否定はしないが、江戸幕府ってどうだったっけ? そりゃ、市場を大切にする人もいれば、そうでない人もいるのは、どの国・民族だって同じだろう。
 
「日本ほど、戦後の世界自由貿易体制の恩恵を受けている国はない」って、本気か? 産業保護はなかったのか?
 
民主党政権になってから、これまでの2代の首相は社会主義Yahoo!辞書「社会主義」は、http://dic.search.yahoo.co.jp/search?p=%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E4%B8%BB%E7%BE%A9&aq=-1&oq=&r_dtype=all&ei=UTF-8 。清高補足)的だった」とのことだが、「社会主義的」って、何?思い浮かばないんだけど。 Yahoo!百科事典「社会主義」(http://100.yahoo.co.jp/detail/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E4%B8%BB%E7%BE%A9/) では、「労働に基礎を置く公正な社会を実現するという思想」とある。これを批判しているということは(批判はあり得る)、「所得格差が広がってもいいと言っているというのは決めつけだ」という八代説は、当たっていないんじゃないか?
 
読売新聞の某記者は、「「指名されるフリーの記者から厳しい質問が出ることは皆無」」、「「自分に都合の悪い質問に向き合う自信がないからではないか」」と言っているが(「記者会見 互いの信頼 必要だ」(http://blogs.yahoo.co.jp/kiyotaka_since1974/52446177.html) )、八代さんの主張を垂れ流しているだけでは、文化部の植田滋記者にも「「厳しい質問が出ることは皆無」」(厳しい質問すらない)というのが当てはまるだおう。
 
清高を新自由主義者だとか社会主義者だとかいうのは構わないが、本エントリーで書きたかったのは、八代さんレベルの説明では、新自由主義復権はおぼつかない、ということである。