この本の内容をどうこう言いたいわけではない。なぜこのような本が成り立つのか。
それは、直系血族は(親子も該当)、互いに扶養義務を負うからである(民法第877条第1項)。
しかし、これは、世界的にはメジャーじゃないらしい。BLOGOS『公的扶助の国際比較:日本の生活保護は効率化の余地がある』(2012年07月03日 12:27。小黒一正。http://blogos.com/article/42388/ )によると、「日本の民法では「配偶者間、直系血族、兄弟姉妹、その他の三親等以内の親族」に扶養義務を定めているが、欧米では「配偶者間と未成年の子」が主流」だとか。
欧米のやり方では、ひきこもりを抱え込まなくても、何も問題はない。叩きだせ、でも。
ただ叩き出すだけではダメで、治療だったり、就労だったり、居場所づくりだったりは必要。こういうのは、ひきこもりの家族ではなく、公的セクターの仕事なのだろう。
しつこいが、吉本芸人の親の生活保護受給が問題化された。しかし、その事例だけを考えるのではなく、可能な限り、想定される事例について、妥当な解決が図られるべきである。
子が親を扶養しかつ親が子を扶養するのがいいのか、どちらも扶養をしなくていいのか、を考えるべきだろう(もちろん、子のみ扶養すべきも考えられるが、平等や妥当性の観点から、勝手ながら無視)。前者ならひきこもりの子を抱えた親に我慢を求めることになるし、後者なら子がいくらお金を持っていても親を扶養しないのを仕方ないと思わないといけない。
私は後者。親には年金もあるし、現役世代の今後も心配だし。前者よりは具体的妥当性があると思う。