2012年6月22日の900号のp22から、安田好弘さんの特集になっている。
さらっと見てみると、「死刑廃止のために悪人を庇う悪徳弁護士。被害者の痛みを踏みにじる"鬼畜"弁護士」とある。多くの人がそう思い、そして今でも思っている」(p23)という。森さんがこの立場に立つわけではないことをお断りしておいて、そう思っている人がいるなら、真性のバカである。「悪人を庇う」のは、依頼者(必ずしもそうではないが、悪人=刑事被告人)のために働く弁護士として当然である。「“鬼畜”(ウェブリオでは、「(鬼や畜生のように)人間らしい心をもっていない者」。http://www.weblio.jp/content/%E9%AC%BC%E7%95%9C )は、人に死ね!という、死刑賛成者にこそ当てはまるんじゃないの(事実を争ってはいけない法はないので、「被害者の痛みを踏みにじる“鬼畜”」は筋違い)?
「欠席の理由はほとんど報道されなかっただけではなく、『殺され方を公の場で発表するなど遺族に対して酷すぎる』と激しく批判された」(p24)とある。安田さんとしても、批判に答えるために会見したのだろうが、これは難しい。黙って法廷で、もあったかも。
安田さんは、「『僕の判断ミス』」(p24)だの、「『僕自身が日本の死刑廃止をめぐる状況を後退させたことは確か』」(p24)と反省している。それはいいが、それよりも、安田弁護士を安易に批判する前に、弁護士の仕事と死刑廃止の合理性についてもっと勉強しろよ、と私は言いたい。
なお、900号には、青木理さんの「死刑判決が確定した光市母子殺害事件の元少年 弁護団への猛烈な批判と変更された死刑基準」(国策捜査第29回)(p26 弁護団バッシング「を軽薄に扇動した“馬鹿者”」のくだりは何人も否定出来ないだろう)、北方農夫人(きたかたのぶと)「冤罪阻止の最後の砦 刑事弁護人が抱える困難」(p30)という、刑事弁護に関して有益な記事も載っている。図書館で見つけたら(最新号ではないので)熟読して損はない。