清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

無免許で 刑重くする 慎重に

テレ朝ニュース「“無免許事故”の厳罰化要請 京都・亀岡の遺族ら(07/20 13:59)」(上からアクセス)の活字部分によると、「京都府亀岡市で集団登校中の児童の列に自動車が突っ込んだ事故の遺族らが滝法務大臣と面会し、無免許運転による事故の厳罰化を求めました」とのこと。

そもそもの亀岡での事件、危険運転致死傷罪(刑法第208条の2。ただし、亀岡の事件には致死があるので(テレ朝ニュースでは「10人支障」)、以下においては、致死のみ論じる)かが微妙な事件であった。

先ず第2項。通行妨害目的(前段)や、信号無視+重大な交通の危険を生じさせる速度(後段)というのがおそらくなかったのだろう(後段については動画で確認できる)。

ゆえに、第1項が問題になっているように思う。

その第1項の適用が微妙だった。「その進行を制御する技能を有しない」について、有斐閣『ポケット六法』平成24年版の参照条文には「無免許運転」(道路交通法第64条。法令データより。http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxselect.cgi?IDX_OPT=1&H_NAME=%93%b9%98%48%8c%f0%92%ca%96%40&H_NAME_YOMI=%82%a0&H_NO_GENGO=H&H_NO_YEAR=&H_NO_TYPE=2&H_NO_NO=&H_FILE_NAME=S35HO105&H_RYAKU=1&H_CTG=1&H_YOMI_GUN=1&H_CTG_GUN=1 )がある。罰則は第百十七条の四第二号によるので、「一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金」である。

報道で見聞した限りでは「その進行を制御する技能を有しない」ことが、例えば車両痕から証明できないのだろう。そして、無免許運転の最高刑が1年以下の懲役だから、無免許であることで最高8年から21年(刑法第47条)にするのに躊躇したものと思われる(京都地方検察庁が)。検察の判断はまっとうである。

遺族が求める改正、すなわち、無免許運転危険運転致死罪の構成要件にする、または無免許運転致死傷罪の新設をすると、約3倍(危険運転致死傷罪の最高刑は20年の有期懲役。刑法第12条第1項参照)刑期が長くなる。これが不当に重くないかは、慎重に議論すべきだろう。

だが、最近は被害者(遺族)感情重視の傾向があるので、大した議論もなく、速やかに改正がなされるものと思われる。しかし、厳罰化は、コスト面、社会復帰の面などにもリスクを伴うことを、頭の片隅に入れて考えたほうがいい。