清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

選手じゃなく 制度設計 悪いんだ

1. 朝日新聞デジタル「「わざと負け狙った」バドミントンの8選手失格」(2012年8月2日1時6分 上からアクセス)によると、「ロンドン五輪バドミントン女子ダブルスの1次リーグで、無気力なプレーをした中国、韓国、インドネシアの4組8選手に対し、世界バドミントン連盟は1日、全員を失格にすると発表した」(1,において、カギカッコ内は、上記朝日新聞デジタルの記事からの引用)という。

詳しくは上記朝日新聞デジタルで読んでもらうこととして、これは制度設計が一番悪いわけで、失格になる選手が可哀想である。

「今大会から1次リーグが採用され、各組2位までが準々決勝に進む」というのがそもそも良くなかった。もしそれをやるのならば、準々決勝からのトーナメントをくじ引きにしたほうがよかった。それよりも、トーナメントにすればよかっただけの話。

朝日新聞デジタルによると、以下の事情があったらしい(清高未確認)。すなわち、①「世界ランク1位ペアは2位通過なら、世界ランク2位のもう一組の中国ペアとは決勝まで当たらず金銀独占が望め」、②「最初の韓国ペアは準々決勝で勝っても、準決勝で世界ランク2位ペアに当たるため、それを避けるために負けを狙った」(世界ランク1位ペアと2位ペアとの潰し合いを狙った、ということ。①より)、③「後の試合に出てきたもう一組の韓国ペアは負ければ、準々決勝で韓国同士の対決となり、韓国勢が確実に準決勝に残る状況をつく」れた(会場の関係もあるが、同時刻で行わなかったことも制度設計のミスだ)、以上3つの事情があったらしい。ただ、朝日新聞デジタルの記事では、なぜインドネシアのペアも失格になったのかが記されていないが、記事から推測すると、「世界ランク1位ペアと対戦すること」を避けたかったようだ。

競技の実力も全然ない素人からすれば、世界ランクが何位でも一生懸命やって勝てばいいじゃん、と思うが、どの競技にも国際大会があり、実力もそれなりにわかっているはずだから、失格した4ペアの行動は合理的である。だから、失格ペアを責めるのは難しい。

2.それでは、他競技ではこんなことはないのか? それがあった。それも日本が絡んで。
 
ブルームバーグ日本版「ロンドン五輪:バドミントン4組失格-日本女子サッカーは不問」(2012/08/02 12:48  http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M83XGL6S973501.html )によると、「ロンドン五輪では7月31日、日本、中国、韓国、インドネシアの4国は、意図的に勝ちを避けるような行動を取ったが、日本だけがとがめを受けずに済んだ」とある。続けると、「日本サッカー女子の佐々木則夫監督は、南アフリカ戦を戦力ダウンの布陣で臨み、引き分けを狙った。この試合に勝利し、1次リーグを1位通過すれば、準々決勝では長距離移動の上、強豪国と対戦することになったからだ」とのこと。

ブルームバーグ日本版の記事だけを読めば、ただの戦略であり、とやかくいうべきことではない。「戦力ダウン」だから即「意図的に勝ちを避ける」とはならないからだ。選手を休ませるという、先を見据えた采配である。もっとも、Jリーグでは問題になったと記憶しているが。また、「南ア戦が引き分けになれば、そのままウェールズにとどまり、英国とブラジルのどちらかと対戦することになっていた。勝利していれば、グラスゴーまで移動してフランスと米国のどちらかと対戦する可能性があった」(ブルームバーグ日本版より)のならば、これは制度設計に問題があり、日本を責めることはできない。

ただ、朝日新聞デジタル「なでしこ、引き分け狙い…選手も監督も揺れた」(2012年8月1日23時52分 http://www.asahi.com/sports/update/0801/TKY201208010757.html )によると、「佐々木監督は後半13分にMF川澄(神戸)を投入する際、「申し訳ないが、あなたの素晴らしい中へ切れ込んでのシュートはやめてくれ」と得意なプレーを自重するよう伝えた。終盤には、これ以上攻めないことを選手間で確認させた」とある。これは、バドミントンで失格したペアとやっていることは同じである(1.で取り上げた朝日新聞デジタル「「わざと負け狙った」バドミントンの8選手失格」によると、「最初の試合では、サーブミスが中国ペアは10回、韓国ペアも4回あった」とあり、わざと得点をしない行為という点でほぼ同じ(ただ、シュートの方はディフェンスが付くという違いはある))。だから、ブルームバーグ日本版の記事は、正当だと考える。

3.結論としては、勝たないインセンティブを与える制度設計をした運営側がほぼ一方的に悪く、次回の大会からは勝たないインセンティブを与えないような制度を設計すべき、とする。もっとも、真の強者は、勝たないということなど考えずに、全勝を狙うものだけれど。