現在は、自由民主党の総裁選の真っただ中。かつて筆者は、谷垣を 私は支持する 総裁選.と銘打ったポストをしたものである*1。下記のリンクを参照。
kiyotaka-since1974.hatenablog.com
たかが一政党のトップを決めるにすぎないのにはしゃぎ過ぎたと今では反省しているが、日本の主流メディアはそうではないようだ。それがいいとしても、意味のない世論調査をして自由民主党をアシストするのはいかがなものか。以下においては、読売新聞と朝日新聞の世論調査の記事を俎上に載せる。
まずは読売新聞の"夫婦の名字「旧姓の通称使用拡大」47%…読売世論調査".2024-09-15.
,(参照2024-09-16).である。
3択のうち、「夫婦は同じ名字とする制度を維持しつつ、通称として結婚前の名字を使える機会を拡大する」が47%で最も多かった*2
読売新聞のすべきことは、間違った世論調査ではなく、女子差別撤廃委員会の勧告を伝えることである。"日本の第7回及び第8回合同定期報告に対する最終見解"*3C.13.(a)によると、「女性が婚姻前の姓を保持できるよう夫婦の氏の選択に関する法規定を改正すること」を「遅滞なきよう要請」されている*4。このことからすると、「選択的夫婦別姓制度を導入する」以外の選択肢は不正解だから、世論調査なんかしないで勧告を正確に書けばいいのである。
次に朝日新聞の"「解雇規制の見直し」に賛成37%、反対48% 朝日世論調査".2024-09-16.
,(参照2024-09-16).を検討する。朝日新聞の記事によると、
「解雇規制の見直し」には賛成が37%で、反対48%が上回った。
(略)調査では「会社による社員の解雇が今よりもしやすくなるように、政府が規制を見直すこと」への賛否を尋ねた
という。
で、具体的に何をするの? 現在でも、「当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる」(民法第628条。損害賠償責任を負う場合もあるが)し、「雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることをすることができる」(民法第627条第1項)のだが(ただし、労働者の解約の申し入れの日から2週間を経過すれば終了する一方、使用者の解雇の場合は「少なくとも三十日前にその予告をしなければならない」(労働基準法第20条第1項。なお、同第21条に適用除外がある)といった違いはあるが)。もちろん、労働契約法第16条の制限はある。しかし、それをクリアできれば今でも会社(使用者)による社員(労働者)の解雇がしやすい状況である。わざわざ自由民主党総裁選で議論するほどのことではない。
新聞の世論調査は、(おそらく)その国(発行地域)の住民がどういう意識を持っているのかを知るのに貴重ではある。しかし、○✖で決められる程度のことを世論調査するのは紙面や労力の無駄なのは明らかで、自由民主党総裁選をアシストしているようにしか見えない。