清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

保守系の 提言なんか くだらない(2)

保守系の 提言なんか くだらない」(http://blogs.yahoo.co.jp/kiyotaka_since1974/31862297.html
の続きではありませんが、似たような趣旨なので、この題名にしました。

5月4日の読売新聞朝刊2頁と4頁(仙台では)によると、中曽根康弘さんの「新憲法制定議員連盟」が「新憲法」の前文を、三浦朱門さんの「「21世紀の日本と憲法有識者懇談会」が「新憲法大綱案(中間報告)」を発表した。以下、4頁を参考に、私見を述べてみたい。

1、中曽根康弘さんの新憲法案前文
(1)中曽根さんは、前文に国柄を盛り込むことにこだわっているようだが、『世界憲法集』(高橋和之編。岩波文庫)を見た限りでは、アメリカ合衆国やカナダみたいに簡素な前文もあれば、大韓民国中華人民共和国みたいに、国柄がよく出ているものもあるので、国柄を出すことについてはどちらともいえないのではないか(あと、今の日本国憲法には国柄が出ていないということなのだろうか)。それとも、裏の意図があるのだろうか(後述)。

(2)第1文、「和を尊び、多様な思想は生活信条をおおらかに認め合いつつ」って本当か?また、この内容でいいのか。というのは、(前後するが)∥人佑併彖曚覆匹鬚おらかに認め合ったのは贔屓目に見ても第2次世界大戦後ぐらいでしかないのではないか(だから「日本国民」か)。∀造鯊困屬海箸砲茲辰堂翹?魘いるのか(カレル・ヴァン・ウォルフレン『日本―権力構造の謎』(ハヤカワ文庫)にも批判が載っている)。

(3)第6文もおかしい。「日本国の最高法規として自ら日本国民の名において」って、先人に失礼ではないか(大日本帝国憲法は欽定憲法とされるが日本国民が作ったし、日本国憲法だってGHQが全部作ったわけでもないのは常識)。

(4)大風呂敷を広げて、この程度か、という批判は甘受するが、そもそも前文は固執すべきことだろうか。一応法規範性はあるが、裁判上の根拠にはならないからだ。それとも、中曽根さん、自分の好きな性格の人間にしたいがためにあえてこのような前文を書いたのだろうか。

2、三浦朱門さんが代表世話人をやっている「民間憲法臨調」の「新憲法大綱(中間報告)要旨」
(1)前文に独自の文化と伝統に言及するとあるが、どこも独自の文化を持っているとも、どこも似ているともいえる。ただ、独自の文化や伝統を声高に叫ぶということは、普遍的な(実際は獲得した)人権の価値を軽視するということなのだろうか。

(2)天皇を国の代表とする必要はあるまい。天皇を元首として、その一方で無責任体制を作った第2次世界大戦時を忘れたのだろうか。逆に、天皇は象徴のままで、内閣を国の代表とすべきではないか。

(3)安全保障について、誰が「国防の責務」を負うのか。そうやって私権を制約しようとでもいうのか。

(4)国民の権利・義務について
ゝ遡崖鞠阿粒領って、憲法についての無知さが出ましたな。憲法って、保障される人権と、人権を保障するための統治システムについて書かれているものなんですぜ。警戒すべきは、義務の名の下に権利が制約されることなんだけどな。

日本の歴史・伝統を踏まえた政教分離規定ということは、今のような厳格な政教分離ということか(キリスト教信仰の自由が「獲得」されたのは、第2次世界大戦後)。たぶん、靖国神社参拝を認めるような条文にしようということなのだろうが、それこそ歴史・伝統を踏まえていないといわざるを得ない。

(5)統治機構について、衆議院の法案再可決要件の緩和は不要。これでは参議院の存在価値がなくなるではないか。憲法とは関係ないが、どちらかの議院を小選挙区制、もう一方を比例代表制にするように法改正すべきだ。

(6)国益条項については、内容がわからないのでなんともいえないが、何が国益かはそれぞれの立場により違うのだから、設ける必要はない。

(7)憲法改正手続きの緩和(各議院の在籍議員の3分の2以上の出席により、出席議員の5分の3以上の賛成で議決、ということは、総議員の5分の2以上の賛成で憲法改正の発議が可能)も必要ない。改正をしやすくすればそれでいいのだろうか。あらゆる立場の者の賛成で憲法改正の発議をすることで何が悪いのだろうか。それとも、少数意見の抹殺をもくろんでいるのか。

私のこのエントリーもたいしたことはないが、保守系憲法についての提言も、ホントたいしたことがないな。まずは憲法の体系書でも勉強したら。