清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

勉強は いいけど人柄 大事かな

1.YOMIURI ONLINE「来春の採用、主要100社の3割が「増やす」…読売調査」(http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20080307-OYT1T00528.htm
によると、2009年3月卒業予定者については、採用数は増やすそうだが、厳しくふるいにかける企業が多いようだ。なお、中途採用を増やす企業もあるそうだ。

2.それに関連して、3月8日朝刊経済面13頁(仙台では)に、企業のホンネ、ならびに、リクナビの編集長さんのコメントが書いてある。目を引いたところを何点か。

(1)採用数は増やすが、「学生の質を重視し、数合わせはしない」と、厳しい採用戦線をほのめかす企業だが、そのためか、「4月1日からの先行では出遅れる可能性がある」と回答した企業がある(日本経団連の倫理憲章で企業の採用活動は4月からとされているにもかかわらず)。

(2)「企業が学生を採用する際に重視する点(3つまでの複数回答)を聞くと、回答は、「調整力・コミュニケーション能力」「仕事への熱意」「性格・人柄」に集中した。逆に「学校・入社試験の成績」「語学力」「資格」はほとんど考慮されていない」(以上、上記朝刊より引用)模様。

(3)リクナビの編集長さんいわく、「再び長期雇用を志向し始めた企業は、学生の潜在能力を見る評価基準を人格など抽象的なものにする傾向にある。学生は自分の基本的な考えを大事にしながら、企業の考えを素直に聞く心構えも必要だ」(以上、上記朝刊より引用)。

3.感想は、以下の通り。

(1) 2(1)や、2(2)から読み取れるのは、企業は大学で勉強することを重視しないということだ。PISA(15歳)のときは学力でみんな騒いでも、大学では大して勉強しなくていいそうだ。大学の教育内容はよくわからないが(役に立たなくても、職業訓練校ではないのだから、批判する必要はない)、このような企業の態度が日本の学問が世界に通用しない原因の一つであり、中等教育までの勉強意欲に問題がある原因の一つであろう(企業のホンネを聞いて、勉強する気が起きるか?)。

(2) 2(2)を見ると、「重視する点」の回答は、学生にとっては努力しにくいものばかりのように思う。一方、「ほとんど考慮されていない」ものは、学生にとって努力しやすいものである。学生にとってはたまったものではないし、本田由紀さん(東京大学准教授)が、「ハイパーメリトクラシー」(『多元化する「能力」と日本社会 ―ハイパー・メリトクラシー化のなかで 』(NTT出版)をご一読ください)批判をするのもわかる。リクナビの編集長さんが「企業の考えを素直に聞く心構えも必要だ」と言っても、途方に暮れるだけではないか。

(3) 「「語学力」「資格」はほとんど考慮されていない」、「再び長期雇用を志向し始めた企業」から考慮すると、「中途採用を増やす企業もあ」っても、厳しいものになろう。ましてや、何らかの事情で落ちこぼれた人(就職氷河期だったり、解雇されたり)にとっては、鬼のような話である(第2新卒ならば、新卒同様努力しにくいし、そうでなければ実務経験がものを言う。結局、努力が難しいことには変わらない)。企業にも採用の自由があるので仕方がないとは思うが、企業の意識がこれでは雇用問題の解決は容易ではない(企業に解決の義務はないが)。

(4) 2(2)の結果は、毎年似たようなものか、それとも違うのかが知りたい。私は、流行とにらむが(ちょっと前までは、専門的なことが求められていたと記憶している(新卒採用も職種ごとだったと記憶している))、もしそうならば、この結果は気にせず、己の信念を貫いた方がいいのかもしれない(私は読者の人生を保証しないので、企業の言うことも聞いたほうがいいと付け加えておきます)。