清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

録画につき 何もわかってない 人もいる

どうも、世の中には、取り調べの録画につき、誤解をしている人がいるようだ(もしかして、私の誤解?)。以下、誤解していると思われる人を2つ上げたい。

1.まずは、読売新聞の社説を書いた人(右記の『取り調べの録画 事例を重ねて実践に生かせ(3月27日付・読売社説)』(http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20080326-OYT1T00738.htm
を参照)。「取り調べの過程を録音・録画」することについて、もっぱら検察側の立証が簡便になることを強調しているが、大して変わらない。録音・録画も伝聞証拠に準じて取り扱われる場合があるからである(被告人については第322条、被疑者については第321条参照。また、田宮裕『刑事訴訟法(新版)』(有斐閣)p328、329を参照しました)。

日本弁護士連合会の言うように、冤罪防止のために、「取り調べ全過程での実施」でなければ意味がない(「自白後になぜ自白したのかなどを供述させ」るのでは意味がない。供述があるので信用できるとはならないから)。それを上記のサイトでは、「真相解明に不可欠な取り調べの機能を害する」という検察側の言い分を鵜呑みにして、何ら批判していない。肝心なのは、もっとも人権侵害が起こりやすい(と思われる)自白採取の段階での人権侵害を無くすことである。他の捜査手段もそのためだ。「欧米のような司法取引などが認められない日本では、捜査に占める取り調べの比重が大きく、全過程の録音・録画は非現実的だ」という記述こそ「非現実的だ」。

2.『マンガ「人権」弁護士 (英和MOOK)』

あとがきに、弁護人と被疑者等の打ち合わせを録音・録画すべきだという趣旨のことが書かれてある。しかし、何のために?ウソをつかせないためだとしても、ウソであることを証明するのは検察官の仕事である。そして、ウソだと証明されれば、被疑者等がリスクを負うので、心配はいらない。また、被疑者等が自分に都合のいいウソをつくことを防ぐことなど不可能である(「法律により宣誓した証人」ではないから、偽証罪は成立しない(刑法第169条))。むしろ、それを捜査機関に見せるリスクの方が大きい(捜査機関側の証拠隠滅など)。

本題と関係ないことをついでに書くが、刑事弁護人に公益保護を求めるの趣旨の文章があるが、それも無理だ。それは、検察官の仕事だろ(検察庁法第4条「公益の代表者」)!

全般的に、無知なことばかり書いてあるこの本には、何の価値も見出せない。書店は速やかに本を出版元に返却すべきだし、出版元は絶版にすべきだし、読者は捨てるべきであろう。