清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

死刑って そんなにカネが かかるのか?

毎日新聞社発行の『週刊エコノミスト』2009年3月10日号p58「World Watch Washington D.C「死刑制度はカネがかかる?州財政悪化で強まる廃止論」(小松健・毎日新聞北米総局長執筆)が興味深かった。

死刑廃止論の根拠はいろいろある。たとえば、凶悪犯の抑止効果が確認されていないとか、冤罪のリスクが極めて高い(生きていればその後の人生を生きることができるが、死刑が執行されるとその後の人生すらない。つまり、回復可能性がない、ということ)など。しかし、繰り返すが、上記記事の死刑廃止の根拠は、お金がかかることである。どういうことだろう?

上記『週刊エコノミスト』の記事を要約すると、死刑判決が出る可能性があると、公費で被告人の弁護士の数を増やしたり、専門家による鑑定作業が慎重になる結果、裁判が複雑化し、長期化するので、コストがかかるのだという。さらに、被告人が上訴すれば、さらに相当の年月がかかるという。

上記『週刊エコノミスト』によると、たとえば、現在死刑囚が9人収監されているカンザス州の場合、死刑執行までの費用が、1人126万ドル(記事によると、日本円で1億1,800万円)、一方、終身刑囚が獄死するまでの費用は、1人74万ドル(日本円で7,000万円)だという。このデータがどう導かれるかはわからないが、ありえないことではないだろう。死刑囚は、強制労働(日本の懲役に当たるものでも)すらないだろうし、執行間際まで争うのは権利なので(市民的及び政治的権利に関する国際規約第6条第4項)、そのためのコストがかかっても不思議はないからである。

一方、モンタナ州の元司法担当責任者いわく、「死刑がある限り、裁判費用を節減できない。財政難で安上がりにしようとの意識が働けば、取り返しのつかない誤審をもたらしかねない」。これは現時点では存置の立場を取る人でも、かみしめるべき発言だろう。

本記事で取り上げたようなことが、普遍的なことか、アメリカに特殊なのかはわからないが、日本でも、このような観点からの死刑見直しの検討は必要だろう(もちろん、膨大な財政赤字ゆえ)。死刑を望む被害者や遺族が悪者(財政破綻の)にならないためにも。