清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

国旗国歌 現代版の 踏絵かな

いろいろ考えたが、現在の国旗・国歌は、踏絵の役割を果たしているのではないか?という話。
 
上記asahi.comによると、「2004年3月、卒業式直前の体育館で、保護者らに向かって「今日は異常な卒業式。国歌斉唱のときは、できたら着席を」と呼びかけた。教頭らの制止にも「触るんじゃないよ」と怒鳴るなどし、開式を約2分遅らせた」元教諭に、「最高裁第一小法廷(桜井龍子裁判長)は7日、元教諭の上告を棄却する判決を言い渡した。罰金20万円とした一、二審判決が確定」したという。
 
成人式で暴れた新成人が逮捕されたのを聞いたことがあるが(有罪になった事例があるかは知らない)、それと並行して論じると、このような判決が出ることはあり得る。
 
ただ、成人式で暴れた人に比べたら、相応の理由(思想等)があるのをどうとらえるか? asahi.comでは「表現の自由」とあるが。
 
ところで、注目すべきは、「裁判官宮川光治の補足意見」(最高裁平成23年7月7日判決。つまり、この事件の判決全文。http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110707162849.pdf
 
いわく、「私は,前記東京都教育委員会教育長の通達(以下「本件通達」という。)及びこれに基づく校長の教職員に対する職務命令等は,教職員の思想及び良心の核心に反する行為を行うことを強制することになり,憲法19条(思想及び良心の自由)に違反する可能性があると考えるが(中略)本件卒業式の行われる体育館という場で,かつ,式の開始の直前(約18分前)に,大声を上げて呼び掛けをするという態様のものであれば,静穏かつ厳粛に本件卒業式を円滑に執り行うという業務を妨害するおそれがあるものとなるといえる。しかも,本件では,被告人は,保護者席の前方中央に立ち,保護者に対し大声で呼び掛けを行い,これに対し教頭や校長が制止したり退場を求めりしたことは必要かつ合理的な行為であるというべきところ,これに従わず両名に対し怒号を浴びせ,その結果,会場内を一時喧噪状態に陥れ,本件卒業式の開式も遅れたという事実が認定できるのであるから,こうした一連の行為について,威力業務妨害罪の成立を認めても,憲法21条1項に違反するものではない。/(改行の意。清高付記)また,本件は,場所,時を選ばずなされた行為の態様が問題なのであるから,正
当行為及び正当防衛の主張に理由がないことは明らかである」
 
これをどう根拠づけるかは、引用しなかったパブリック・フォーラム論も含め難しいが、バランス感覚の一端が垣間見えて、良い。
 
ところで、踏絵は、憲法第19条違反である(芦部信喜憲法(新版補訂版)』(岩波書店、1999)。現実において、踏絵と、補足意見に出た通達や職務命令の効果は似ている。つまり、従わなければ処罰・処分するのである。この点からすると、起立・斉唱しなかったという場合は、踏絵と似ているので、憲法違反を認めても差し支えないと言えなくはない。
 
しかし、今回の事例は、それとは別の行為であり、有罪認定をしたから問題だとは言えないと思う。
 
とにかく、現在の学校現場では、公然と踏絵(類似)の行為がなされているとみてよい。国際化と何ら関係のない入学式や卒業式での国旗掲揚・国歌斉唱は、学習指導要領等で義務付けるのではなく、みんなで話し合って決めればいいと思うのだが。