この記事を見て、「あの鬼畜、まだ何かやろうってのか」だとか、「被害者遺族のことを考えろ」だとかほざくバカがいるだろうけど、再審請求自体には全然問題がない(再審請求をしてはいけないわけではない)。もっとも、これが認められるかは別問題だが。
法律家なのだから当然法的根拠が備わっているだろうが、MSN産経ニュースの記事では、刑事訴訟法第435条第6号「原判決において認めた罪より軽い罪を認めるべき明らかな証拠をあらたに発見したとき」に該当すると主張しているように見える。根拠は、「科学的根拠として、差し戻し上告審で提出したが証拠採用されなかった心理学者による供述や精神状態の鑑定書などを、新証拠として提出する」のところ。
『有斐閣判例六法平成25年版』をざっと調べたが、難しいな。「裁判所による実質的な証拠価値の判断を経ていないことを意味」(高松高等裁判所平成5年11月1日決定)するというのもあり、「原確定判決の上告裁判所に提出された資料については、証拠調べ又は事実の取り調べの行われた形跡がみられなくても、上告裁判所がその判断の過程で右資料の内容を了知し、これらについての審査を行った上で結論を導いているものとみなされる場合には、本条六号にいわゆるあらたに発見した証拠に当たらない」(東京高等裁判所昭和55年2月5日決定)というのもあり、「上告趣意書等に添付して提出された証拠であても、確定上告審において、当該証拠について明確な判断がなされず、職権調査の対象となったか明らかでない場合には、本条六号の定める証拠の新規性を失わない」(福岡高等裁判所平成12年2月29日決定)というのもあるからである。ただ、再審請求としては、まったくありえない話ではなさそうである。
その他、「死刑を言い渡されたいかなる者も(中略)減刑を求める権利を有する」(市民的政治的権利に関する国際規約第6条第4項)ことからも、やってみるだけの価値はある。
ところで、「安田好弘弁護士」さんもまだ関わっていたんだ‥‥・ (なお、弁護団の団長は、別の人である)。となると、光市事件弁護団叩きって、全然意味ないよね。依頼者(この場合はMSN産経ニュースに載っている死刑囚)が不満に思っていないもの。肝心なのは批判する側のストレスではなく、依頼者が満足するかどうかである。