清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

主権免除 認められるか わからない

予定稿はあったのだが(有斐閣Sシリーズ『国際法』(第5版。以下「Sシリーズ 『国際法』」と表記)p104~の第7章3(2)「主権免除」を引用しつつ論じようと思った)、ちょうどいい記事を見つけたので、そちらの紹介にする。

 

www.fnn.jp (2019年11月13日11時30分。以下「記事」と表記)

 

がそれである。

 

筆者は先ほど「予定稿」と書いたのだから、Sシリーズ『国際法』の当該箇所をざっと読んだが、

 主権免除が認められるのかは、偏に韓国司法にかかっている。韓国の裁判所が日本の主張通り主権免除を認め、訴えを却下するかというと、一筋縄にはいかない可能性がある。主権免除が適用されない例外があるからだ。

 は、まさに的確な解説である。

 

ドイツ対イタリアの、国際司法裁判所の解説も興味深く拝読したが、以下の引用文も感銘を受けた。

ICJがドイツ勝訴を言い渡した主な理由は「武力紛争中の軍隊の行為については主権免除が適用されるとの国際慣習法が存在する」というものだった。(略)

慰安婦賠償訴訟の原告側が、日本軍のどの行為を違法だと訴えているのかまだ判明していないが「日本統治時代の朝鮮半島で、詐欺的行為で女性を連れ出した」などと主張する事が予想される。その場合、「当時の朝鮮半島は武力紛争が起きていないので、主権免除の対象とならない」などと主張してくる可能性がある。また韓国司法は徴用工訴訟で日本の統治自体を「違法・不法」と断じていて、慰安婦問題に関する日本軍の関与についても「不法行為」と判断するのはほぼ間違いない。そして原告側はイタリア政府と同様に「不法行為は主権免除の例外」と主張する可能性がある。

この部分の解説は的確である。付言すると、「『武力紛争中の軍隊の行為については主権免除が適用されるとの国際慣習法が存在する』」の部分は、「国家の活動を主権的行為と業務管理的行為とに区分し、前者についてのみ免除を認める制限免除主義」(Sシリーズ『国際法』p105)の「主権的行為」ということになるのだろうか?

 

日韓関係は完全に破綻しかねない危機的状況になるだろう

は少々勇み足で、現時点でアメリカはそれを望まないから、GSOMIA終了に関して韓国が受けているようなことをアメリカから日本が受ける可能性があると予想する。

 

 韓国政府が「最終的かつ不可逆的な」解決に合意した2015年の日韓合意を遵守して

 とある。たしかに国連機関が2度見直しを勧告しているが(下記2本の日本経済新聞電子版の記事参照)、

www.nikkei.com (2017年5月30日1時52分)

www.nikkei.com (2018年8月31日11時55分)

、それゆえ日韓合意が破棄されたという事実はないから、日本政府も「欠席裁判」(記事より)しないで、法廷で

日韓両外相共同記者発表 | 外務省 (2015年12月28日)に基づいた主張をすればいいのではないか、と思う。ただ、条約とは、Sシリーズ『国際法』p26の定義によると、「(国際法主体)の間において文書の形式により締結され、国際法によって規律される国際的な合意」なのだそうだが、上述の「共同記者発表」をウェブサイトに載せたのが該当するかは、筆者の力ではわからない。なお、Sシリーズ『国際法』p27によると、「広義の条約は、条約、協定(略)宣言(略)など、様々な名称で呼ばれるが、法的効力に差異はない」とのこと。したがって、「共同記者発表」だから「広義の条約」(Sシリーズ『国際法』p27)に該当しないとは言えない気がする。

 

ともあれ、肝心なことは、事実があれば、原告が癒されることが第1だということである。