清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

現代に つながる「中国人 虐殺」

 いきなりで恐縮だが、最近読んだ『関東大震災 中国人大虐殺』(仁木ふみ子、岩波ブックレットNO.217、1991)が印象に残ったのでその話を。

 

 まだちょっと早いが、1923年9月1日は関東大震災関東大震災については

関東大震災とは - コトバンク をご一読。関東大震災において流言蜚語を原因として朝鮮人が虐殺されたことは日本人であれば(というより、世界中の人が。災害の教訓として)知っていなければならないが、中国人も社会主義者も、そして間違えられて日本人も殺されたのである。そのうち中国人に焦点を当てたのが前述『関東大震災 中国人大虐殺』である。

 

 中国人虐殺の詳細については『関東大震災 中国人大虐殺』に譲るとして、その本のp65からの「なぜ?を問い続けて」が印象的だったので、以下引用しつつ検討する。

 

 なぜこういう事件(中国人虐殺事件。筆者補足)が起こったのか。中国人虐殺事件は朝鮮人虐殺事件同様、その要因が戒厳令そのものに帰することは明らかである。*1

 戒厳令については

戒厳令とは - コトバンク を一読してもらうとして、東日本大震災においても出されなかったわけであるから、おそらく関東大震災時も出す必要がなかった。戒厳令が民族虐殺につながるというのは怖いことである。

 

 狂気の夜が明けて、もう殺すべき「敵」(朝鮮人のこと。筆者補足)はいなかった。索敵する血に飢えた軍隊の前に生贄に供されたのが中国人労働者たちであった。*2

 あり得ることで、恐ろしい。

 

  中国人労働者も日本人人夫も同じ底辺労働者である。問われるべきは「労働行政」のまずさであり、「支那人原文ママ]労働者取締」行政のまずさであった。/にもかかわらず、人夫たちは煽動されて、仲間であるべき中国人労働者の虐殺部隊になってしまった。「外国人労働者政策」が、中国人集団虐殺のもう一つの要因となったのである。 *3

 『共産党宣言』には「万国の労働者よ、団結せよ」とあるのは有名な話だが(

万国の労働者よ、団結せよ!とは - Weblio辞書 参照)、労働者というのはそういうもので、あるカテゴリーの人は高給で、あるカテゴリーの人は薄給というのではうまく行かないのだ。同一価値労働同一賃金を目指すのは当然である。

 

 「脱亜入欧」をめざす「日本の近代化」がもたらしたアジア人蔑視の精神の奇形は、多くの日本人を毒していた。*4

 これは今でもそうである。ホロコーストを事実としてそれをコントで揶揄として取り入れた人は解任されたが、中国人差別と取れる舞台を作った人は参加でき、また関東大震災時の朝鮮人虐殺を否定するかのような動きをした東京都知事がいまだに辞任していないことにつき、当ブログ「ユダヤ系に ビビっただけの 日本だ(小池都知事 まだのうのうと しているの?(2))」をご一読。

kiyotaka-since1974.hatenablog.com

実は、これが言いたいがために『関東大震災 中国人大虐殺』を引用しつつエントリーしたという一面がある。

 

 (中国人虐殺事件。筆者補足) を追うことは、日本人及び日本社会のもつ致命的欠陥を凝視することになるのだが、「外国人労働問題」は、まさに現代の問題であり、「入管」行政、底辺労働、労働ブローカー、ピンハネは、今(1991年。筆者補足)もあのときと変わらない。いじめの構造も、異質のものと共存できない体質も、「脱亜入欧」の観念も、右にならう習性もまるっきり変わっていない。*5

 上記引用部分は、今(2021年7月25日現在)でも当てはまる。「『外国人労働問題』」ならびに「『入管』行政」はいちいち示さないが今も新聞をにぎわすことがある。「『脱亜入欧』の観念」は既述した。「右にならう習性」は、例えば「今はオリンピックなのだから反対せずに盛り上がろうぜ!」みたいな見解に従わされることをイメージした。オリンピックを楽しむか、批判するか、は、犯罪をしないかぎりは個々人の自由である。

*1:関東大震災 中国人大虐殺』p65 

*2:前述書p66 

*3:前述書p67

*4:前述書p67 

*5:前述書p70