経済ジャーナリストの浦上早苗さんによると、中国で、東京オリンピック2020に出場した日本人選手への誹謗中傷があるという。浦上さんが書いた、東洋経済ONLINE「中国で五輪『日本人選手』に誹謗中傷続く2つの訳 対戦相手の中国人選手が自制求めても収まらず」(2021年8月4日11時)に基づいて検討しよう。
7月26日に卓球混合ダブルス決勝で水谷・伊藤ペアが中国チームを破るとムードは一変した。試合直後はトレンド1位から3位までを同試合関連が占め、うち1件は水谷・伊藤ペアに不正の疑いがあると指摘する内容だった。
(略)
そして卓球以上に炎上が長引いているのが、28日の体操男子個人総合で金メダルを獲った橋本大輝選手だ。「橋本大輝が跳馬で失敗」から始まり、同選手が採点の不正で金を盗んだとの中傷、橋本選手がインスタのコメントが荒らしに遭っていること、その後Twitterで誹謗中傷に対する心中を明かしたことなど、一挙手一投足がトレンド入りしている*1
事情は2ページ目に書いてあるが、その事情を無視すれば、日本人もかつてやったなぁという感想しか持てない。一例として、女子フィギュアスケートのキム・ヨナさんに対する誹謗中傷をあげよう。「キム・ヨナ 買収」でTwitter検索した結果は
ところで浦上さんの文章には
橋本選手のSNSには「カネで金メダルを買った」というような中傷が寄せられているが、これは中国のさまざまな局面で腐敗や買収が常態化していることも関係しているだろう。
習近平国家主席が就任後に「腐敗撲滅」に取り組んで喝采を浴びたが、裏を返せば、スポーツの世界を含めて、カネや人間関係で物事が左右されるという認識が国民の間で共有されていることを物語っている*2
とあるが、存在しないキム・ヨナさんの審査員買収を書く日本人がいるとすれば、日本にも該当しそうである。
筆者の調査不足もあろうが、キム・ヨナさんが本人のアカウントまで書き込まれたという話は聞かないが、「自国のSNSで誹謗中傷しても気が済まない人たちが、自国のアクセスブロックを乗り越えて選手本人のTwitterやインスタグラムまで書き込みに行く」*3ということがあるとすれば、キム・ヨナさんが活躍していた時代より選手がSNSのアカウントを持つようになったというのが一因かもしれないと思った。
なお、「中国は毅然とした対応を取るべきだ」*4と言えるだけ今回の件はましかもしれない。Twitterが使える国であれば、最終的にはアメリカの本社を相手にしなければならないはずだからである。