新年明けましておめでとうございます。今年も当ブログをよろしくお願いいたします。
さて、読売新聞のサイトによると(http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070101i101.htm)、安倍晋三内閣総理大臣が年頭所感を発表したのだが、とりわけ私が注目するのは、以下のくだり。
「今年、施行60年を迎える日本国憲法に関して「新しい時代にふさわしい憲法を、今こそ私たちの手で書き上げていくべきだ。その前提となる憲法の改正手続きに関する(国民投票)法案について、本年の通常国会で成立を期す」との方針を示した。
その上で国民投票法制定を契機に「憲法改正について国民的な議論が高まることを期待している」と訴えた。」(以上、上記のサイトから抜粋)。
たしかに、憲法改正手続きに関する国民投票法案は必要だし、憲法について国民が興味を持つのはよいことだ。
しかし、「新しい時代にふさわしい憲法を、今こそ私たちの手で書き上げてい」かなければならないほど、今の憲法は悪いのだろうか。憲法第9条があっても世界有数の「軍隊」となっている自衛隊があるではないか。基本的人権の規定も、特に問題があるとは思えない反面、自由民主党憲法草案は権利性が後退しているという欠点を持つ(田村重信『新憲法はこうなる―美しいこの国のかたち』(講談社)参照)。改正がしにくいといったって、それだけ憲法がいいと思っている人が多い(厳密に言えば、そういう立場の人に一票を入れている人がいる)のだから文句は言えないのではないか。
自由民主党の議員さんの話を聞いていると、憲法や憲法学に対する理解が著しく欠けていると思う(立場が違うと言われそうだが、芦部信喜『憲法』(岩波書店)は、憲法学のとりあえずの到達点であり、きちんと理解してほしいところだ。といっても、私が理解しているとは言わないが)。まずは、国会図書館にでもこもって憲法学の本を読んでほしいところだ。