清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

無理かもな 最低投票 率導入

昨日、めでたく(?)「日本国憲法の改正手続きに関する法律」(以下、憲法改正国民投票法と記述する)が成立した。

早速、読売新聞の社説を見たら(http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20070514ig90.htm
、「最低投票率は不要だ」ということが書いてあった。

以前にもこのブログで取り上げたが(「可能かな 最低投票率の 設定は」 http://blogs.yahoo.co.jp/kiyotaka_since1974/31744170.html
、少し考えを改めたところがあるので、再度検討したい。

1、そもそも、憲法第96条第1項によると、「この(憲法改正発議の)承認には、特別の国民投票または国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする」。「その過半数」とは、今国会で成立したとおり、有効投票の過半数とするのが憲法学会の通説のようだ(文理上とくに問題はない。そのほかに、投票数の過半数有権者過半数の説が考えられるが、後者は棄権にも効果を与えるので不合理とされる。芦部信喜憲法』(新版補訂版 岩波書店)参照。もっとも、私は、棄権という行動をとるのは、憲法のことはよく知らないということではないかと思うので、有権者過半数とする説にも一理あると思う)。

2、ただ、そうなると、少数の賛成で憲法改正発議が承認されかねない(たとえば、投票率が30%で、6割が賛成の場合、有権者の18%しか賛成していないのに、承認の効果を与えていいのだろうか)。そこで、最低投票率を設けようということが考えられる。

3、最低投票率を設ければ、確かに、有権者過半数の賛成だけで承認される場合より、少数の賛成による承認の可能性は少なくなるだろう。しかし、以下の批判には耐えられないだろう。

(1)、最低投票率設定の上限は過半数とするしかない(大韓民国憲法第130条第2項、ロシア連邦憲法第135条第3項。高橋和之編『世界憲法集』(岩波文庫)参照)。そうでないと、「その過半数」と定めている憲法第96条第1項に違反するからである(たとえば、最低投票率を60%に設定し、全員が賛成した場合、「その過半数」の要件を満たしているのに、憲法改正ができないのは、おかしい)。

(2)、(1)で指摘したように大韓民国ロシア連邦には最低投票率の定めがあるが、それは憲法にある。しかし、日本国憲法にはその定めがないので、最低投票率を設定しない趣旨なのではないか(なお、『世界の憲法集(第2版。最新版を各自確認されたし)』によると、スペインにも憲法改正について国民投票制度があるが、詳細は憲法典には書かれていない。法律で最低投票率制度が定められているのだろうか)。

4、となると、最低投票率の設定は、無理という結論になる。しかし、発議の場合に要件が厳格なのに(各議院の総議員の3分の2以上の賛成)、国民投票はそれほど厳格でなくていいというのは釈然としない。

5、なお、この問題については、「たにも on the web」(http://tanimo.exblog.jp/5506218
、ならびに「情報流通促進計画byヤメ記者弁護士」(http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/5572cb97c0cf9f3a1b6a48f90469c720
が有益でしたので、参照しました。それによると、何らかの形で最低投票率を導入している国のほうが多数なのだそうです。憲法改正については、解釈が分かれているようです。