清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

足りないのに 反対してる 弁護士は

裁判員制度が、2008年5月21日から施行されることが決まったが(公判前手続きなどの関係で、実際の公判が始まるのは、2ヵ月後)、三重、岐阜、愛知、滋賀、長野の5県の弁護士会裁判員制度に不安を感じているという(東京新聞「中部5県「対応の弁護士不足」 裁判員制度始動へ課題残す」(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008040890132420.html
参照)。これらの不安が正当な不安かを、以下、検討する。なお、これらの問題意識は、全国でも応用可能だと思う。

1.まずは、人数の問題から。

(1)人数が少ないという観点からは、「それなら、増員に反対するなよ」としか言えない。

(2)しかし、もし「国選弁護で支払われる報酬は低い」(岐阜県弁護士会)(詳しく調べていないが、事実のようだ)という理由があるのならば、報酬増額などをしなければならないだろう。あと、刑事弁護士バッシングも、自分のためにならないので、読者の皆様も今後は慎むべきだ(誰でも、叩かれてまでやりたくはないのだ。ただ、弁護士の批判をするなということではない。たとえば、このやり方では、被告人を救えないと言ってはいけないわけではない。もっとも、報道に接するだけでは、被告人の考えがわからないので、難しいだろう)。

(3)「法務省管轄の法テラスとの契約は「国に管理されることを意味する」」という一部の弁護士の批判はなかなか難しい。国からの独立は歴史的悲願である反面(国家からの人権侵害と戦うのも弁護士の仕事)、法テラスと刑事弁護人の不足とは、直接は関係ないし(法テラスがないときから国選弁護はあった)、弁護士会自体が法テラス類似のシステムを構築すべきと思うからである(国から管理されるのがいやなら自分で作れば、ということ)。

(4)「名古屋地裁岡崎支部で開かれる同裁判を担当する同県弁護士会西三河支部の弁護士は約60人しかおらず、足りない」などの偏在の問題は、難しい。増やせばいいと思う反面、仕事がないから弁護士がいないという現実もあるからである(隣接職種の方も一生懸命やっているし)。

2.場所的問題

(1)「中部6県(愛知、三重、岐阜、長野、福井、滋賀だろうか―清高注)では、愛知県と長野県以外の4県は裁判員裁判を開く裁判所は県庁所在地の地裁1カ所だけ。このため、容疑者・被告が拘置されている警察署と実際に裁判の開かれる地裁が遠く離れるケースが出る」ことについては、理想としては、裁判所近くに拘置所を作るしか解決策はない(警察署での拘置(代用監獄)など論外)。しかし、予算や、現存の拘置所の関係からは、難しいのだろう。

(2)「両方の現地に近い弁護士同士で弁護団を組む可能性があるが、福井県弁護士会は「福井市の弁護士が100キロも150キロも離れた敦賀市小浜市の弁護士と連携を取れるかは疑問」だとしても、それは何とかしろ、としか言えない(この記事からは対案が読み取れないことと、私自身にアイデアがないことが理由)。

3.その他

(1)「平均3日の集中審議形式の裁判に不安を抱くのは滋賀県弁護士会。「弁護士は民事など他の案件もあり、裁判員裁判に集中できない」」については、その通りとしか言えない。やはり、国選弁護の報酬の増額が欠かせない(民事より、又は同様の魅力がなければ誰が仕事をするか)。

(2)岐阜県弁護士会の幅隆彦会長は「評議が本当に一般の人にできるかなど、不安が大きい。無罪推定の原則を裁判員が認識して審議できるかが一番の不安だ」はまさにその通り。まずは、マスメディアが、犯罪報道をもう少し公平なものにすることが大事か(被疑者は匿名報道、安易な被告人やその弁護人バッシングをしない、など)。読者の皆様がすべきは、刑事訴訟法の入門書を読むことになるのだろうが、適当なものは思いつかないので、各自お探しください。