NIKKEI NET「タクシー事業参入規制強化に反対 政府規制改革会議」(http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20080731AT3S3001030072008.html)
によると、「政府の規制改革会議(カッコ内略)は(中略)これまでの規制緩和がタクシー運転手の賃金低下や事故率の上昇を招いたなどとする主張を「根拠が薄弱」と厳しく批判。多様な運賃・サービス向上などの実現に向けて一層の規制緩和を進めるよう求める」という。
内閣総理大臣が、規制改革一辺倒を改めるというイメージのある福田康夫さんであるが、森喜朗さん以来、森派が牛耳っていることからすると、この結論は当然だろう(もっとも、森派だけではなく、以前から規制改革が議題に上っていた。内橋克人『規制緩和という悪夢』(文春文庫)参照)。
内容を検討すると、まず、「これまでの規制緩和がタクシー運転手の賃金低下や事故率の上昇を招いたなどとする主張を「根拠が薄弱」」かどうかはよくわからない。ただ、需要があまり変わらず、供給が増えれば、料金が下がり、その結果の賃金低下はありうる。また、供給台数が増えれば、熟練していない運転手が増えれば、「事故率の上昇」も不思議ではない。
次は、「多様な運賃・サービス向上」について。乗る側からすれば、多様な運賃は必ずしも歓迎しない。仙台では、初乗りは個人が安く、近距離は法人が安く、距離が長くなると個人が安くなる傾向があるように思うが、タクシーを拾うときにそこまでは考えられない(先に並んでいるタクシーや、偶然来たタクシーに乗る機会が多いから)。
サービス向上は、お年寄りの方の近距離運送の歓迎ぐらいしか思いつかない。居酒屋タクシーにされても、酒を飲まないので全然うれしくない。
民間企業だから、工夫は当然だが、政府の人が思うほど、タクシー事業は甘くないように思うのは、気のせいか。