清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

終身も 死刑も必要 ないんだよ

読売新聞2009年2月4日朝刊28頁(仙台では)に、『司法新時代 終身刑導入 米は』と題して、現在来日している、アメリカの、南イリノイ大学犯罪非行矯正研究所のキンバリー・レオナード所長のインタビュー記事が載っている。以下、検討する。

「―釈放の見通しがない(仮釈放がない終身刑の話。清高注)受刑者が、自暴自棄にならないか? 「一般受刑者と比較し、暴力などの問題行動が多いわけではないが、終身刑や無期刑の約2割に精神疾患があるとのデータもある。希望を失い、『終身刑になるぐらいなら死刑にしてほしい』と望む受刑者もいる」」(上記読売新聞より引用。以下、カギカッコ内同じ)

まず、問題行動については、ハワード・ゼアさんの『終身刑を生きる―自己との対話』(現代人文社)にも書いてある。ただ、精神疾患については、違う。『終身刑を生きる―自己との対話』においては、短期刑より落ち着いた人が多いという趣旨のことが書かれている。「『終身刑になるぐらいなら死刑にしてほしい』」という発言は、私は尊重しない(精神疾患の可能性、自暴自棄の可能性が否定できない)。

「―終身刑の導入が進んだ理由は? 「2000年代に入り、DNA鑑定で多くの死刑確定者の冤罪が明らかになった。世論調査で死刑を支持する人は、90年代の約80%から65%に減り、誤判で取り返しのつかない過ちを犯さないよう、死刑より終身刑を望む人が増えた」」

まともな議論だろう。現在ならば、DNA鑑定があるので、誤判の可能性が少なくなったから、死刑を存置すべきだという逆立ちした議論があるかもしれないが、「誤判で取り返しのつかない過ち」がゼロになったとは考えられず、採用できない。

「―終身刑の導入で、どんな変化が起きたのか? 「死刑判決が減る一方で、18歳未満の少年の事件や、従来なら有期刑だった事件でも終身刑を言い渡されるケースが増えており、実質的な重罰化につながった面も否定できない。死ぬまで刑務所で生活させるコストも高く、大きな問題になっている」」

アメリカの法制度がよくわからないので判断しにくいが、「実質的な重罰化」自体の問題で、終身刑の問題ではないだろう。もしかしたら、アメリカは、有期刑と死刑の間に何もなかったのだろうか。なお、日本の場合、現行法体系に終身刑を加えたら、無期懲役の事件が終身刑になることは、警戒しなければならないだろう。「死ぬまで刑務所で生活させるコスト」については、だから死刑がいい理由にはなってないし、釈放の可能性がある日本の無期懲役の方がいいと言える。

要は、死刑も問題あり、仮釈放なしの終身刑もダメ、日本流の無期懲役刑が最善だ、と言いたいのである。実質的に終身刑化していると言われている現状では、仮釈放なしの終身刑導入の必要はなく、死刑廃止だけを議論すべきだろう。

それじゃ、被害者はたまったものじゃないって?それは承知しているが、金銭的、精神的ケアがなければ、加害者が死んでも仕方がないと思うが。また、被害者の立場を尊重すれば、何ゆえに加害者の命を奪えるのか(生命に対する権利(世界人権宣言第3条)がなくなるのか)の理論的根拠が明らかでないし。所詮は被害者になっていない者の戯言?逆に、冷静に議論ができるということで、この記事を読んでほしい。