清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

見解は いいが法律 間違えた

某図書館で『サイゾー』という雑誌を読んだ。『サイゾー』2012年12月号p118に、「法社会学者・河合幹雄の法痴国家ニッポン③ 警察・検察を押さえてこそ政権は真に奪取される」が載っており、興味深かったので紹介しつつ検討する。

p118「民主党がわずか3年余りでここまで凋落した要因については様々な指摘が可能でしょうが、私(河合幹雄さん。著者。清高補足)は基本的に、「そもそも「政権を取る」とはどういうことなのかを民主党がしっかり理解していなかった」というひと言に尽きると思っています」とのこと。なかなか興味深い出だしなので、以下も読んでしまった。

p118「真の意味での『政権奪取』とは、国家のみに認められる“暴力装置”、すなわち警察・検察を掌握し、直接的な強制力を保持することであり、それは議会を押さえる(p118「衆議院で多数派になる」ことと清高は読んだ)ことよりも実ははるかに本質的なことです」だって。この観点は見たことがなかったが、以下の記述や、海上保安官の動画漏洩からすると、なるほどと肯ける見解だった。

決して日本だけの話ではないが、さすが法社会学者、日本の話も詳しい。すなわち、p118「明治維新以降の日本の警察は、常に時の政治権力と密接に結びつき、「国家の手先」として利用されてきました。その最たるものが、選挙における警察力の乱用」なんだって。詳しくは『サイゾー』2012年12月号をご一読。

また、p119「選挙だけではありません。各省庁が監督業界をそれぞれに仕切るのが日本社会の特長ですが、警察と検察だけは、その気になれば、そうした枠組みを越えてすべての業界・政治家・官庁・官僚に圧力をかけることが可能」なのだそうだ。読者の皆さんも身に覚えがあろう。

その警察や検察、p119「09年の政権交代」時には、「存在感が示せない時期」だったという。p119「自民党自身が(中略)目先の利権ばかりに目を向けるようにな」ったからだそうだが、後述。

p119「警察の側には(中略)政権交代後、民主党と一体となって自民党に追い打ちをかけることもしなければ、自民党に擦り寄って今一度政権を元に戻そうとするような動きも見せ」なかったが、p119「他方、理解し難い行動を取ったのが検察です。通常どんな国でも政権交代後に真っ先に行われるのは、前政権の汚職や弾圧行為などの摘発です。わかりやすいのが韓国で(中略)大統領経験者が軒並み逮捕されています。/(改行の意。清高注)ところが日本の検察は、自民党の有力議員を潰さなかっただけでなく、09年3月に民主党小沢一郎代表(当時)の公設秘書を政治資金規正法違反の容疑で逮捕し、さらに11年には(中略)政権交代の立役者である小沢本人を強制起訴しました」とある。この引用文、2つの疑問が。第1に、09年3月って、自由民主党政権だったはずだが(民主党政権になったのは2009年9月)。第2に、強制起訴は検察ではないはずだが(指定弁護士。検察審査会法第41条の9、第41条の10参照)。事実と法律をご存じなかったようだ。

ただ、以下の結論は、かみしめるべきである。p119「警察、検察の動向は、まさしく彼らの掌握こそが政権の安定に不可欠な要素であることを端的に示しています(中略)民主党は、政権交代を果たし予算を握りさえすれば官僚は従わざるをえないと勘違いした、つまり民主党は国家の本質を見誤ったのであり、この観点からすれば、民主党の低迷は必然だったとさえいえるのです」。

少々間違いはあったが、河合さんの説は、それなりに肯けるものだった。