清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

エリートの リアルは相互 理解かな

2014年5月11日19時からNHK-BS1で放送された、「BS1スペシャル マイケル・サンデルの白熱教室 日中韓の未来の話をしよう」(Facebookページはhttps://www.facebook.com/NHKonline/posts/862132093813457

が興味深い内容だったのでエントリーする。
 
まずは「東京オリンピック開催について嬉しいと答えた人の割合」
日本―6人、中国―7人、韓国―5人(各8人のうち)。社交辞令もあるのだろうが、中国が一番多いとは思わなかった。
 
次は「サッカーのワールドカップの決勝が、日本vsブラジルだった場合、日本を応援する人は?」
日本―6人、中国-2人、韓国―5人。中国や韓国も、日本憎しというわけではなく、そもそも母国のサッカーが弱いから興味がないだとか、いろいろな意見があった。
 
このようにスポーツではわりと公平な見解となったところで、歴史認識に移る。巷で言われている通り、中国、韓国は日本の過去のことに詳しく、日本の学生は「取りあげても内容が薄い」(アユミ。敬称略)と、劣勢気味。以前BS-TBS「ニュース少年探偵団」(「教科書を 比較の番組 見てみたよ」(http://blogs.yahoo.co.jp/kiyotaka_since1974/54641136.html
)で、日本では原爆投下が取りあげられていたのに対し、韓国は取りあげず、中国は自国の核実験と絡めて取り上げることを紹介したが、やられた方はやられたことをきちんと教えるのは、日中韓、どこも同じのようだ。「ニュース少年探偵団」でもそうだが、中国や韓国の人は、日本人というより、日本政府の対応に批判的なようだ。
 
サンデルの質問が「歴史教科書で無視・軽視されている出来事は」に及んだところ、韓国のゴンアは「ベトナム戦争」と答えた。中国のウー(2人いたが、どちらかは私のメモでは不明)は「文化大革命」と答えた。リアルのエリート候補は、自国の汚点を直視しようと努めているのは、日中韓どこでも同じようだ。
 
中国人や韓国人は、日本の謝罪(番組では、村山談話河野談話を指している)を知らないところがあった。韓国のユンへは「河野談話見直しの機運で河野談話が誠実な謝罪だったのか疑ってしま」ったという。これが正しい認識かはさておき、こう取るのはわかる。
 
この歴史問題の終結点は、哲学的考察、すなわち、「自分が生まれる前の世代が犯した誤りについて本当に責任を負っているのか?」ということに辿り着く。『これからの正義の話をしよう』(ハヤカワ文庫NF)でも取りあげられていた話と記憶している、サンデル得意の論点。
 
20時からは後半戦(リアルタイムでは見ていないが)。まずはアメリカの存在が日中韓の関係改善に役に立っているかの質問に対して、役に立つと回答した人の数を示す。
 
日本5人、韓国6人、中国1人。
 
軍事同盟を組んでいる国はやはり多いな。韓国のボルチャンは「米と同盟関係にある日韓をバックアップできる』と評価するのに対し、リ(中国)は「アメリカはいくつも戦争を引き起こした」ことを重視する。中国の人はアメリカが日本の側につくのを不満に思っている人が複数いた。その一方で、韓国の人は中国を警戒し(最大の貿易国とは認識しているが)、価値観が似ているアメリカを選んでいるという意見が目立った。ウー(中国)が「アメリカの保護」と言ったのに対し、ボルチャン(韓国)は「パートナー関係」と評価。なかなか面白い議論になっていた。そこで日本のショウタが「日中韓が共通の価値観を持っていることが対立の一因」という、面白い分析をしていた(それぞれの文化が違うことを理解せずに、同じ文化内で優劣をつけていた)。
 
ウー(中国)いわく「K-POPや韓流ドラマが好きだからコピーさせてもらっている」というのには大笑い。でも潔くてよかった。個人的にはウーがこの番組のMVPだった。
 
ポップカルチャーの普及はに中韓の関係に良いかという質問は、中国の1人をのぞいて全員良い回答。K-POPファンでもあるチェンは「中国が日韓を真似ることが多いので中国独自の文化を生み出しにくくしている」という。これまた潔い。
 
サンデルの質問や、親を愛しているか?の次に国を愛しているか?の質問。日本人1人は国を愛しているか、という質問で手を下ろしたが、他の人に動きはない。そこから個人と国同士の関係に議論が及ぶ。すなわち、個人の関係に比べ、国同士の関係は難しいという話になっていく。
 
当然のことだろうが、未来のエリートの意見は、バランスが取れており、面白かった。中国や韓国の悪口を言って(一読のかぎり正当な批判の域を超えている)悦に入っている少数のネットの見解よりも有益だった。番組出演者がもしネットをやっていたらどんな見解かは知らないけれど。