某日、録画してあった、2014年11月12日0時からNHK-BS1で放送された、「BS世界のドキュメンタリー “左折禁止” 社会民主主義は退潮しているか」(2014年、ドイツの作品)を観た。現在の日本の政治を考える上で有益な内容だったので、筆者なりにまとめてみたい。
筆者は、共和党と民主党が二大政党のアメリカ、保守党と労働党が二大政党のイギリスに比べ、日本において、自由民主党のような右派(あくまでイメージだが、労働組合の支持が相対的に少ない政党)が、左派(労働組合の支持が相対的に多い政党)に比べて圧倒的に強いのは不思議だと思っていたが、最近のヨーロッパもそうらしい。番組では、ドイツ、イギリス、スウェーデン、フランス、イタリアの左派政党関係者(ただし、すべてが労働組合の支持が多いかは未確認)に取材し、なぜ左派が弱くなり、今後左派政党が生き残るにはどうすべきかを考察している。
ヨーロッパにおいて、かつては、左派政党が政権の中核にある国が多かった。しかし、グローバル化に抗することができず、労働規制を緩和したりした。その一方で、財政赤字問題に対応できず、右派政党に政権を譲り渡す。
右派政党も、単に右派的な主張をするわけではなく(労働組合は悪だとか、労働規制を緩和すべきだとか(すでに左派政権が緩和しちゃっているようだ))、環境を守るといった、左派的主張も取り入れて支持を拡大している。
左派政党も右派政党も、政党の主張としては歩み寄っているが、左派政党が凋落し、右派政党が躍進するのは不思議である。しかし、とりあえずヨーロッパで現実に起こっていることをそのようにイメージしていいと筆者は思った。
アベノミクス、という単語を、コトバンク(https://kotobank.jp/word/%E3%82%A2%E3%83%99%E3%83%8E%E3%83%9F%E3%82%AF%E3%82%B9-189460#E3.83.87.E3.82.B8.E3.82.BF.E3.83.AB.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.B3.89
)で調べたが、金融政策・緩和や、財政出動をしているイメージがある。これらは自由放任ではなく国家の介入なので、左派的(よりよい労働条件を実現するのも国家による介入の面がある)である。
右派のイメージのある自由民主党等の現政権も、左派が採るであろう政策(デフレだと労働者の所得が減少するのだから(『高等学校 政治・経済』(第一学習社、2012年検定済み高等学校教科書)p143)、デフレにしないことは労働者にとってはプラスが多いと思われる)、日本における右派の強さにも納得した。また、アベノミクスを批判する野党に対案(財政出動をやめる、金融緩和をやめる)など出せないから、アベノミクスを論点とすると、現与党が優勢と思われる。