清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

+α 新書は差別 煽動か

読売新聞2020年2月27日統合版13版3面(社説掲載面)に、講談社の広告が載っている。

 

そこで掲載されている本に、次の3冊の+α新書がある。

 

『夫のトリセツ』(黒川伊保子・著)

『妻のトリセツ』(同)

『空気を読む脳』(中野信子・著)

 

上記3冊は、日本みたいに差別に関してユルユルなところでしか出版は許されないだろうな。以下、理由を示す。

 

黒川さんは「脳科学・AI研究者」なのだそう。もし「夫」と「妻」で脳が違うという主旨であれば、そういうことはない(はずだ)から、男女差別になるし、脳と何ら関係ないならただの素人談義で、どちらにしても読むに値しない本と認定し、そもそも読まないのがいいだろう。人間には敬意をもって接しましょうという至極当然の内容で何が悪いのだろう?筆者が読んだ限りでは、『親業―子どもの考える力をのばす親子関係のつくり方』(トマス・ゴードン、著、大和書房、1998。ただし、親がどう子に接するかという内容ではあるが)、『Think CIVILITY「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である』(クリスティーン・ポラス、著、東洋経済新報社、2019)がそういう本だった。

 

『空気を読む脳』の広告には、以下のような文章がある。

不安を力に変えるのが日本人の強みだった!!

日本人の脳の特性を読む解く! 

 これ、ナチスでも使えそうだ。アーリア人は脳が優れているから、だとか。

 

おそらく、「日本人の脳」なるものはない(ヒトの脳はある)。それをあるかのように書き、なおかつ日本人の脳を肯定的に評価しているとすれば、それは立派な差別煽動である(「不安を力に変え」られない奴は劣っている、と解釈できる)。

 

講談社は以前『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』(ケント・ギルバート、著、講談社+α新書、2017)という本を出版し、それが社内でも非難にさらされたことがある(下記記事参照)。

lite-ra.com

 

筆者も読んだが、儒教の文献からの引用が乏しく、間違いもあった(筆者のレビューは

https://www.amazon.co.jp/review/R1SS6TRAQQYZA4/ref=cm_cr_srp_d_rdp_perm?ie=UTF8&ASIN=4062729644

)。ギルバートさんは弁護士でもあるし、(お粗末でしたね)で済む話かもしれない。

 

一方、本エントリーで取り上げた3冊は、専門家のイメージのある人が差別を煽動すると思われる本を出版したのだから、悪質性はギルバートさんの本の比ではないと思うが、いかがだろうか。

 

(先ほどレビューを出したのに、読売新聞2020年2月27日統合版13版3面に載っていた3冊のレビューがないのはなぜだ?まさか、読まずに非難しているのか?)と思われる方もあろうが、その通りである。読むに値しない理由は書いたし、そもそも講談社の売り方に問題がある。

 

ともあれ、本エントリーで取り上げられた3冊は、非難ごうごうでもやむないと思う。

 

補足:2020年3月2日

黒川伊保子さんの「トリセツ本」につき、以下の記事を紹介する。

 

朝日新聞デジタル2019年4月7日12時5分「妻のトリセツが説く脳の性差 東大准教授は「根拠薄い」」(木村尚貴・署名記事)

www.asahi.com

 

②WEZZY(株式会社サイゾー)2019年3月8日「『妻のトリセツ』大ヒットという危機感 ジェンダーロールとインチキ脳科学の結びつき」(中崎亜依・署名記事)

wezz-y.com

 

①によると、四本(よつもと)裕子・東京大学准教授、ならびに信州大の菊池聡(さとる)教授は黒川さんの本に一定の評価をしているが、一方で否定的評価をしている。

 

②によると、

「脳の性差」を証明するエビデンスはなく、むしろそんなものは存在しないという研究結果が発表されている

 とのこと。

 

本エントリーの「男女差別」は言い過ぎかもしれないが、男女で違うということは、よほどの根拠がないと差別の問題になることは理解していただけたのではないかと思う。