まずはakabishi2さんのツイートを紹介する。
ゲンダイ
— akabishi2 (@akabishi2) 2020年2月20日
《翌日から、ホテル側は国会質疑や安倍事務所に関するメディアからの質問に答えなくなったのだ》
ところがどっこい「18日に取材を申し込んだ。19日になって広報担当者が取材に応じた」と書くメディアがあったんだ。
読売新聞っていうんですけどね…https://t.co/z14PdM5pry
それにしても読売のあの記事は、なんでわざわざ取材を申し込んだ日付と回答の日付をこのように書いたのか。
— akabishi2 (@akabishi2) 2020年2月20日
これ、書かざるを得なくなった現場の、せめてもの“抵抗”と見るのは穿ち過ぎかねぇ?
上記akabishi2さんのツイート、ならびに関連している記事を検討する。
後述する読売新聞の記事で言及したと思われる朝日新聞の記事は、「ANAホテル「申し上げた事実はない」 首相答弁を否定」(2020年2月17日 23時18分。有料記事)
朝日新聞によると、以下の通り。
「桜を見る会」の前日に開かれた夕食会をめぐる安倍晋三首相の答弁に関して、「ANAインターコンチネンタルホテル東京」の広報担当者が17日夜、朝日新聞の質問に回答した。野党が示したANAホテルの見解について、首相は同日の衆院予算委員会でホテルへの照会結果として「個別の案件については営業の秘密にかかわるため、回答に含まれない」と答弁し、夕食会が見解の対象外とする見方を示したが、ANAホテルはこの部分を「申し上げた事実はございません」と否定した。
朝日新聞の取材にメールで答えた。
次に、毎日新聞の宮原健太記者のツイートを紹介。
野党も私達もホテルとはメールでやりとりして、回答が記録としてあるため、首相答弁を否定する証拠があります。
— 宮原健太 (@bunyakenta) 2020年2月18日
一方で安倍首相は「文書では回答しない」としている。やましいことがなければ同じようにメールで確認をとり文書として出せばよい。それだけなのですが…。
(終)
会社は違うが、毎日新聞の認識も、上記朝日新聞の記事と同じだと筆者は解釈した。
さぁ、お待ちかね、読売新聞の登場。2020年2月20日統合版(朝刊のない地域ゆえ)13版4面「『桜』前夜祭 ホテル『一般論答えた』 首相説明『矛盾』指摘に」
安倍首相の後援会が「桜を見る会」の前日に主催した前夜祭を巡り、会場となった「ANAインターコンチネンタル東京」は19日、野党が首相答弁との矛盾を指摘しているホテル側の回答は「一般論として答えたつもりだった」と述べた。
読売新聞が18日に取材を申し込んだ。19日になって広報担当者が応じた。
(中略)
ホテルの広報担当者は明細書発行の有無について「個別の案件には答えられない」と説明。(略)つじ(十にしんにょう。筆者注)元氏の指摘については、「一般論として答えたつもりだったが、それ以上に解釈されている」と語った。(略)
(略)朝日新聞などは「『個別の案件については営業の秘密に関わるため、回答には含まれない』と申し上げた事実はございません」と、首相答弁を否定するホテルの回答を掲載した。
ホテル広報担当者は首相の事務所に行ったのは、営業担当者だとしたうえで、「『営業の秘密』とは伝えなかったが、個別案件については申し上げないということで、趣旨としては(営業の秘密と)同じことを言ったつもりだった」と述べた。
一連の経過を見て、(読売新聞、エライエライ)となるかい!
まず、取材が遅い(朝日新聞の記事は17日、読売新聞が取材を申し込んだのが18日)。
次に、朝日新聞や毎日新聞も証拠をつかんでいるので(「朝日新聞の取材にメールで答えた」(朝日新聞デジタルより)、「野党も私達もホテルとはメールでやりとりして、回答が記録としてあるため、首相答弁を否定する証拠があります」(毎日新聞記者、宮原健太さんのツイート))、朝日新聞等の勇み足の可能性が低そう。
読売新聞の引用の最終段落も上記朝日新聞の記事、毎日新聞のツイートと矛盾するが、「『営業の秘密』とは伝えなかった」(読売新聞の記事より)のであれば、「首相は同日の衆院予算委員会でホテルへの照会結果として『個別の案件については営業の秘密にかかわるため、回答に含まれない』と答弁」(朝日新聞デジタルより)とある首相の答弁が無理である。したがって、読売新聞に回答したホテル広報担当者と、安倍晋三首相が誤魔化してると解釈されても仕方がない。
というわけで、筆者の結論としては、「書かざるを得なくなった現場の、せめてもの“抵抗”と見るのは穿ち過ぎかねぇ?」というakabishi2さんの見解は穿ち過ぎであり、読売新聞の記事は自由民主党(等連立)政権ヨイショの姿勢の表れと分析する。
現状では、リベラルとされ、時には侮蔑される新聞の方が、保守とされる新聞より、よほど視点が鋭くいい記事を書いているようである。