まずは2022年4月7日5時に朝日新聞がアップした、「朝日新聞社編集委員の処分決定 『報道倫理に反する』 公表前の誌面要求」
をご一読ください。
朝日新聞の記事によると、
朝日新聞社は6日、外交や米国・中国を専門分野とする編集委員の峯村健司記者(47)を停職1カ月とする懲戒処分を決めた。(略)安倍晋三元首相が週刊ダイヤモンドのインタビュー取材を受けた後、ダイヤモンド編集部の副編集長に公表前の誌面を見せるように要求した峯村記者の行為について、報道倫理に反し、極めて不適切だと判断した。
(中略)
調査結果によると、ダイヤモンド編集部は外交や安全保障に関するテーマで安倍氏にインタビューを申し入れ、3月9日に取材を行った。取材翌日の10日夜、峯村記者はインタビューを担当した副編集長の携帯電話に連絡し、「安倍(元)総理がインタビューの中身を心配されている。私が全ての顧問を引き受けている」と発言。「とりあえず、ゲラ(誌面)を見せてください」「ゴーサインは私が決める」などと語った。副編集長に断られたため、安倍氏の事務所とやりとりするように伝えた。記事は3月26日号(3月22日発売)に掲載された*1。
峯村記者の行為について本社は、政治家と一体化して他メディアの編集活動に介入したと受け取られ、記者の独立性や中立性に疑問を持たれる行動だったと判断し、同編集部に謝罪した。
峯村記者は社内調査に、「安倍氏から取材に対して不安があると聞き、副編集長が知人だったことから個人的にアドバイスした。私が安倍氏の顧問をしている事実はない。ゲラは安倍氏の事務所に送るように言った」と説明している。昨年、副編集長から取材を受けたことがあり、連絡先を知っていたという。
峯村記者は「安倍氏とは6年ほど前に知人を介して知り合った。取材ではなく、友人の一人として、外交や安全保障について話をしていた。安倍氏への取材をもとに記事を書いたことはない」と説明している。
朝日新聞社は峯村記者の行為を裏付けるために安倍氏の事務所に質問書を送った。事務所からは「ダイヤモンド社の取材を受けた際、質問内容に事実誤認があり、誤った事実に基づく誤報となることを懸念した。峯村記者が個人的に(副編集長を)知っているということだったので、(安倍氏が)マレーシア出張で時間がないこともあり、事実の誤りがないかどうかについて確認を依頼した。峯村氏からは電話で『インタビューの内容について確認はできなかった』と聞いている」との回答が寄せられた。(以下略)
これが事実であれば、当時朝日新聞の峯村健司さん*2が「政治家と一体化して他メディアの編集活動に介入した」*3とされても仕方がない。
ただ、朝日新聞、ならびに峯村さんを庇うわけではないが(後で峯村さんのnoteを検討する)、そもそも『週刊ダイヤモンド』が、なぜ(別論点とは言え)118回も国会において虚偽答弁をした*4安倍晋三さんにインタビューをしたのだろうか。そちらの方がずっと問題で、「朝日新聞記者が権力*5と一緒になって介入してきたんだい!」と被害者ぶってはいけない。
なお、峯村さんのnote「朝日新聞社による不公正な処分についての見解」(2022年4月7日6時22分。
https://note.com/kenji_minemura/n/na8bcec8efb30
)*6もざっと読んだが、記者以前に社会人としてどうかという人のようである。以下、引用して検討する。
私はひとりのジャーナリストとして、また、ひとりの日本人として、国論を二分するニュークリアシェアリングについて、とんでもない記事が出てしまっては、国民に対する重大な誤報となりますし、国際的にも日本の信用が失墜しかねないことを非常に危惧しました。また、ジャーナリストにとって誤報を防ぐことが最も重要なことであり、今、現実に誤報を食い止めることができるのは自分しかいない、という使命感も感じました。この時、私の頭によぎったのが、朝日新聞による慰安婦報道です。誤った証言に基づいた報道が国内外に広まり、結果として日本の国益を大きく損なった誤報でした*7
へぇ、朝日新聞って国営だったんだ。「日本の国益を大きく損なった」*8ことを問題視しているわけだから。実際の朝日新聞は株式会社*9だけど。株式会社なら、まずは株主が大事だろう。もちろん企業として成長するには消費者が買ってくれないと話にならないわけで、消費者の利益にならないとダメに決まっている。それより「国益」*10が重要なわけがない(仮に真実であれば日本の信用が失墜しても報じなければならないだろう)。この程度もわからないのだから社会人として未熟なのはよくわかった。なお、「朝日新聞による慰安婦報道」*11がそれほど重要ではないことにつき、ウィキペディア「クマラスワミ報告」をご一読あれ。
読み進めると、以下のようなことも書いてある。
朝日新聞社は2014年、(略)東京電力福島第一原子力発電所事故にかかわる「吉田調書」をめぐる報道などで、読者や社会の信用を大きく傷つけました。問題を検証した朝日新聞社の第三者機関「報道と人権委員会」(PRC)は「報道内容に重大な誤りがあった」「公正で正確な報道姿勢に欠けた」と判断しています。(中略)/私はこうしたいかなる「角度」をつけないために、事実を徹底的に掘り下げ、思い込みを排除して客観的な報道をしてきました。こうした姿勢が評価され、「ボーン・上田国際記念記者賞」および「新聞協会賞」という外部の栄誉ある賞をいただいたと自負しております。SNS上でも「朝日新聞の良心」と言われる所以だと思っております。
2022年4月7日の時点で、こんな中傷を書いちゃったの?それも旧所属会社の?これも社会人としてアウトだと思うぞ。実際は、朝日新聞の吉田調書報道が誤報であるかが怪しいのに。『朝日新聞「吉田調書報道」は誤報ではない: 隠された原発情報との闘い 』(海渡 雄一 /河合 弘之/ 原発事故情報公開原告団弁護団、彩流社、2015)をご一読。まぁ峯村さんに、一社会人としての「良心」がないことが分かった騒動劇であった。
喧嘩両成敗のつもりはない。より悪いのは、118回も虚偽の答弁をしたという「実績」があって信用できない安倍晋三さんのインタビューした『週刊ダイヤモンド』であるが、峯村さんの問題ある人間性も明らかになってしまった。
*1:オンラインにおけるタイトルは、「安倍晋三元首相に直撃、なぜ非核三原則に抵触しても核共有の議論に踏み込むのか
安倍晋三元首相インタビュー」(2022年3月23日5時10分。
https://diamond.jp/articles/-/299748
)
https://note.com/kenji_minemura/
*3:朝日新聞デジタル「朝日新聞社編集委員の処分決定 『報道倫理に反する』 公表前の誌面要求」
*4:Googleニュースにおいて「安倍 虚偽答弁 118回」で検索した結果は、
*6:もしなかった場合は、アーカイブの方にアクセスすれば見つかるかもしれない。
https://archive.ph/2022.04.07-030136/https://note.com/kenji_minemura/n/na8bcec8efb30
*7:峯村健司 note「朝日新聞社による不公正な処分についての見解」
*8:*7と同じ。
https://www.asahi.com/corporate/guide/outline/11208885
*10:*7と同じ。
*11:*7と同じ