今日取り上げるのは、NHK NEWS WEB2020年2月4日21時の記事。
上記記事によると、
立憲民主党の国会内にある部屋の扉に、新聞各社の政治記事を評価したコメントが書き込まれた紙面が一時張り出され、報道各社は、取材規制とも受け取れるとして問題視しました。安住国会対策委員長は、「冗談のつもりで、取材規制をしたつもりはない」と釈明しました。
(略)
紙面は、廊下から見える場所に貼られ、しばらくして剥がされました。これに対し報道各社は取材規制とも受け取れるとして問題視し、党に見解などを明らかにするよう求めました。
安住国会対策委員長は、記者団に対し、みずからがコメントを書いたことを認めたうえで、「ちょっと調子に乗りすぎた。冗談のつもりで、取材規制をしたつもりはない。不快な思いをしたなら反省している」と釈明しました。
という。
「『冗談のつもり』」(NHK NEESWEBより)とあるが、おそらくそれはごまかしで、ホンネだと思った。
本エントリーで問題にするのは、「報道各社は取材規制とも受け取れるとして問題視し、党に見解などを明らかにするよう求めました」(NHK NEWS WEBより)のところ。なお、この件については、FNN PRIME『平井文夫の言わねばならぬ!』「「報道への圧力だ」とキーキー騒ぐな 安住さんの新聞論評は今後も続けてほしい」(2020年2月5日午後6時)が面白い記事なので、読んでください。
閑話休題。「報道各社は取材規制とも受け取れるとして問題視し、党に見解などを明らかにするよう求めました」(NHK NEWS WEBより)の話。
仮に安住淳・国会対策委員長や立憲民主党が取材拒否や、それこそこの件より露骨な圧力をかけるということがあったら、その時こそ戦い時だろう。
しかし、現在において戦うべきは、安住さんではなく、菅義偉・内閣官房長官だろう。
でも取り上げられているが、東京新聞の望月衣塑子記者の質問外しの件である。
あろうことか、内閣記者会が、望月さんの質問をスルーしたのである。
こちらの方が読者の知る権利を保障する観点から深刻な問題のはずなのに、こちらで戦わず、安住さんの評価にブチ切れる報道関係者は何様なんだ?どこ見て仕事してるんだ?
安住さんの行動の否定的評価を否定するわけではないが、肝心なところで戦わないという現状と併せて考えると、安住さんに八つ当たりしているというだけの話で、報道各社の方が問題である。
(追記 2020年2月6日)
毎日新聞(会員限定記事)2020年2月6日6時30分の記事を挙げる。
ただ、このような記事にする意味はない。望月さんの質問を数回受け付ければいいだけの話だから。
次はツイートの紹介。
沖縄密約etc. で、優秀な個人の記者を潰してきた歴史がある。日本の新聞・メディアの近代の歴史150年を詳細に振り返れば、どれほど新聞・メディアが時々の権力者、政治家、財界、官僚、アメリカなどからの圧力と『闘うことができなかったか』の歴史だった事は明々白々(続https://t.co/gjRcc6Mbml
— polarbear (@polarbear_2017) 2020年2月6日
このツイートは鋭い。毎日新聞記者だった西山太吉さん、また、最近では朝日新聞の調査報道(吉田昌郎(故人)調書に関連する記事が一例。『朝日新聞「吉田調書報道」は誤報ではない: 隠された原発情報との闘い』(海渡 雄一 /河合 弘之 /原発事故情報公開原告団弁護団・著、彩流社、2015)の一読を乞う。朝日新聞の報道は虚偽とはいえないということがわかる) と、日本のメディアは横につながって読者の知る権利を保障する方向ではなく、同業他社を徹底的に叩くという、人権より経済優先の論理のようだ。もっとも、東京新聞の望月衣塑子に問題があるかについては未検討。