清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

嘘ついた 櫻井よしこらが 謝罪すれば?

まずは毎日新聞2020年2月6日 19時06分(最終更新 2月6日 19時46分)の下記記事を紹介。

mainichi.jp

 

高裁の判決はhttp://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/search1 で検索しても出てこなかったので(2020年2月7日時点)、第1審の札幌地方裁判所の判決のアドレスを示す。http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/295/088295_hanrei.pdf

 

第1審判決の詳細は見ていないが、肝心なところは「その摘示されている事実又は意見ないし論評の前提とされている各事実は,真実であると証明されているか,事実
の重要な部分を真実と信ずるについて相当の理由があると認められ」のところだろうか。

 

要は、櫻井よしこさんの週刊誌記事は、真実であるところもあれば虚偽もあったということである。ただ、最高裁昭和41年6月23日判決http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/744/057744_hanrei.pdf

に示されている通り、「民事上の不法行為たる名誉棄損については、その行為が公共の利害に関する事実に係りもつぱら公益を図る目的に出た場合には、摘示された事実が真実であることが証明されたときは、右行為には違法性がなく、不法行為は成立しないものと解するのが相当であり、もし、右事実が真実であることが証明されなくても、その行為者においてその事実を真実と信ずるについて相当の理由があるときには、右行為に
は故意もしくは過失がなく、結局、不法行為は成立しないものと解するのが相当である」ということである。

 

第1審の札幌地方裁判所判決において一部真実と認めているので難しいが、虚偽の部分については櫻井さんや出版社も謝罪すればいいのに、と思ってしまった。

 

毎日新聞の記事に戻ると、筆者が以下に引用する部分が気になった。

判決後に記者会見した植村氏は、桜井氏が自分に取材していないことなどに触れ、「この判決は報道機関のフェイクニュースを野放しにできるもので、恐ろしく容認できない」と述べた。

これはなかなか難しい。以下2点。

 

第1点。「桜井氏が自分に取材していない」のところ。筆者は新聞書評を担当したことはないが、新聞書評をするのに書評する本の著者に取材すべきであるということは聞いたことがない(それどころか、引用(著作権法32条)は著作者の許可なくでき、そうでないと否定的評価が難しくなるという制度趣旨を聞いたことがある)。一方、記事の執筆者がおかしいと主張したらその言い分を載せたほうがフェアだとも思う。

 

第2点。「『この判決は報道機関のフェイクニュースを野放しにできるもので、恐ろしく容認できない』」のところ。虚偽の事実を書いても過失がないとして不法行為が成立しないとすると、フェイクニュースが野放しになるという植村さんの懸念はわかる。ただ、結果責任(植村さんは櫻井さんに過失がないことを前提にしていないので「無過失責任」と表記しなかった)にしてしまうと表現が委縮するということもわかる。したがって最高裁昭和41年6月23日判決の論理はやむを得ず、フェイクニュース規制の方が問題かもしれない(故意や過失を証明できれば不法行為だから特に必要ない)。