それはいいが、アンフェアな批判は正しておこう。
資料は、①最高裁平成18年6月20日第3小法廷判決(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20060620163659.pdf) 、ならびに、②最高裁平成24年2月20日第1小法廷判決(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20120220164838.pdf) 、である。
まず②。「弁護人安田好弘ほかの上告趣意は,憲法違反,判例違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。/ なお,所論に鑑み記録を調査しても,刑訴法411条を適用すべきものとは認められない」とある。とんでもない弁護士たちとしよう。上告理由でないことを主張しているのだから。
次に①。「検察官の上告趣意は,判例違反をいう点を含め,実質は量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。しかしながら,所論にかんがみ職権をもって調査すると,原判決は,下記1以下に述べる理由により破棄を免れない」とある。
どちらもやっていることは同じ。つまり、弁護団の「法令違反,事実誤認,量刑不当」(②。傷害致死(殺意がない)の主張)などの主張、検察官の「量刑不当」(①。差し戻し前の第2審の無期懲役を不当としている)の主張、どちらも、適法な上告理由(刑事訴訟法第405条)とは判断されていない。第411条に定められている破棄判決という職権の発動を促したものである。
弁護団の主張がダメならば、同じように検察官の主張もダメでないと、筋が通らない。
読者の好き嫌いや信仰は理解する。しかし、どちらも法律に基づいて主張しているにすぎず、いずれか一方を罵倒するのでは、アンフェアという批判は免れないので、エントリーを読まれた方は、見解を改める(検察官の主張をダメとするか、弁護団の主張を良しとするか、どちらでもよい)ことを勧める。