以前疑問に思ったコラムに、nikkansports.com「法だけでは解決しないネット誹謗中傷/政界地獄耳」(2020年6月1日9時17分。キャッシュのアドレスは(2020年6月10日アクセス)http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:QRotsvdqNxsJ:https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202006010000098.html&hl=ja&gl=jp&strip=1&vwsrc=0
)があるので検討する。
第2段落の
政権の対応はネットの誹謗中傷の法的厳罰化だ。だがその線引きは難しく、発信者の情報開示手続きを規定したプロバイダー責任制限法の法改正で解決するだろうか
はまさに正しい問題意識である。正当な批判と誹謗中傷の判断が難しいことくらい、読者ならわかるだろう。正当な批判にすぎないのに「誹謗中傷だぁ!」という人がいないとも限らない。
第3段落の
NEWSポストセブンによれば誹謗中傷への批判を理解しない若者がいるという。記事では「『テラハのファンだった』という女子学生の1人は、『彼女が亡くなったのは個人的な問題なのに、なぜ番組がたたかれるんですか? 番組を作っている人と番組のファンが被害者』」と言う。(略)その時からネットを使っている若者にリアルやリテラシーについての正しい理解がないままさまざまな事象を受け止めているのではないか。ICTでテレワーク授業が進む今、ネットのリテラシーから教育しなければ法の厳罰化だけでは解決しない。
が引っ掛かったので当ブログで紹介したが、この記事の「「女子学生の1人」」の見解は無下に否定すべきではない。
というのは、誹謗中傷をされた人全員が直後に死ぬというわけではないからである。仮に自死する人が出た場合、自死した人が合理的な行動(例えば訴えを提起する)をしていないわけだから、「「『個人的な問題』」」という側面を否定できない。そしてそれは誰にでも起こり得るので社会問題として自殺予防が啓発されるのである。筆者は以前『自殺予防学』(河西千秋、新潮選書、2009)を読んだが、現在絶版。古本で買うか、類似の本を読んで勉強することを勧める。
このように、インターネット上の誹謗中傷につき、現在拙速な議論が行われているように見える。それは先ほどの「政界地獄耳」と筆者は同じ問題意識のはずだが、「政界地獄耳」の方は誹謗中傷か否かの「線引きは難し」いのに「「『個人的な問題』」」という「「女子学生」」の見解を否定的に評価しており、矛盾している。