稲田朋美・元防衛大臣が独自色を強めているらしい。読売新聞オンライン「稲田氏が著書で独自色…自民保守派は反発、安倍氏も距離」(2021年7月25日8時24分)。
読売新聞の記事によると以下の通り。
自民党の稲田朋美・元防衛相=似顔=が独自色を強めている。今月、著書「強くて優しい国」(幻冬舎)を出版し、性的少数者(LGBT)の支援や女性活躍の推進を盛り込んだ。(略)
稲田氏は(略)最近では選択的夫婦別姓をめぐって旧姓を戸籍に併記する案を提唱したほか、LGBTに対する理解増進法案を国会提出しようとした。いずれも、保守派の反発が強いテーマだ。
19日に出版した著書では(略)ひとり親家庭やLGBTの支援も掲げ、「『保守』とは多様性を認め、寛容ということだ」と訴えた*1
読売新聞の記事の限りでは、稲田さんの見解は概ねまっとうである*2。ただ、「旧姓を戸籍に併記する」とはいえ夫婦別姓を認める方向性だとか、「LGBTの支援」だとかは、個人の権利を尊重する、リベラルな政策である。「『保守』とは多様性を認め、寛容ということだ」(読売新聞の記事より)というのは間違いで*3、記事に加え、『月刊Hanada』(飛鳥新社)2021年9月号の見出し(読売新聞2021年7月26日統合版12版8面)でも保守派の反発がうかがわれる。というわけで『月刊Hanada』の見出しの一部を。
稲田朋美元防衛相が 左翼の餌食となった動かぬ証拠(山口敬之)
LGBT激突大闘論 稲田朋美vs小川榮太郎 LGBT問題で対立する二人が、初めて激突!本来の「保守主義」とはなにかをめぐり議論はヒートアップ!
それにしても、保守派の人がそこまで反発すべきことなのだろうか?以下に紹介する山口真由さんもLGBTの権利に肯定的とはいえないが*4、『リベラルという病』(新潮新書、2017)を読むと、「コンサバの発想の基礎」(p217)は「大いなる自然に対する畏怖」(p216)なわけで、自然はLGBTを造り給うたわけだから、権利を認めることにそれほど否定的にならなくてもいいと思うのだが。