菅義偉政権は、憲法第53条後段の「いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」という規定を無視するという憲法違反を犯している*1が、そのような国政の状況そっちのけで、自由民主党総裁選が盛り上がっている*2。
まだ告示がなされていないが*3、岸田文雄さん、河野太郎さん、高市早苗さん*4などが立候補しそうだ。その中で、河野太郎さんの発言を取り上げる*5。と言っても、河野さんの発言を直接取り上げるのではなく、朝日新聞デジタルにある「河野行革相、総裁選に立候補を表明 『日本の礎は、皇室と日本語』」(2021年9月0日17時2分)を取り上げるのだが。
朝日新聞デジタル「河野行革相、総裁選に立候補を表明 『日本の礎は、皇室と日本語』」を引用する。
河野太郎行政改革相(58)は10日、国会内で記者会見を開き、自民党総裁選(17日告示、29日投開票)に立候補することを正式に表明した。
(中略)
また河野氏は「自民党は保守政党だ」とし、「保守主義は度量の広い、中庸なあたたかいものだと思っている。日本の礎は長い伝統と歴史と文化に裏付けられた皇室と日本語」と話した。
(以下略)
しかし、仮に保守主義*6が「『度量の広い、中庸なあたたかいもの』」であれば、人間社会はそんなに変わらないのではないだろうか。実際はそういうものではないのでリベラルな方向に進むのではないか。
また、「『日本の礎は(略)皇室と日本語』」というのもよくわからない。江戸時代以前の人は現在の人みたいに皇室に関心があったのだろうか?日本語の大半はもともと漢字となるがそうなると中華人民共和国の属国となるのか。もっとも、自由民主党は中華人民共和国が大好きで、自由民主党政権において、中華人民共和国に倣って国歌不斉唱に制裁を科すことを継続しているから*7驚かないが。
それでは、対立している野党のうち、第一党の枝野幸男・立憲民主党代表のコメントも紹介しておこうか。朝日新聞デジタル「枝野氏「自民は『革命政党』、正統保守は我々」」(2017年11月17日21時24分)から引用する。
自民党は保守政党と名乗っていたと思うが、いつのまにか「革命政党」になったみたいだ。やたら「革命」「革命」と言って、革命政党なんだなとよく分かった。我々は寛容で多様な、リベラルな日本社会を守る。我々こそが正統な保守政党であることをしっかりアピールしたい
この認識はハズレではないし、リベラルと保守が対義語と言えるかは微妙である。しかし、保守しては問題な場合があるのでリベラルに法制度が変わるものなはずだが。
自由民主党も立憲民主党もどちらも「保守」アピールをしているが、現在の日本社会って本当に「保守」すべきものなのだろうか。1人1人が過ごしやすい社会にしたいというアピールをなぜしないのだろうか。そこがよくわからないのである。
*1:2021年6月16日に通常国会が閉会したが(『NHK政治マガジン』「通常国会きょう閉会 解散総選挙は9月以降の見方」(2021年6月16日。
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/statement/62212.html
))、立憲民主党、日本共産党、国民民主党、社会民主党の4党の臨時国会会召集要求(NHK NEWS WEB「野党4党 新型コロナ“日本は戦後最大級の危機”臨時国会召集を」(2021年8月17日16時46分。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210817/k10013208011000.html
))を2021年9月13日現在においても無視している。
*2:各種新聞をお調べあれ。
*3:『NHK政治マガジン』「【詳しくわかる】
自民党総裁選2021」(2021年9月10日。
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/lastweek/66481.html )によると、2021年9月17日告示。
*4:筆者が報道から知った候補予定者の名前をあいうえお順で書いた。
*6:「保守主義」については、コトバンク「保守主義」をご一読。
https://kotobank.jp/word/%E4%BF%9D%E5%AE%88%E4%B8%BB%E7%BE%A9-133050
*7:公立学校の式典において国歌斉唱をしない教職員が懲戒処分を受けている。