西日本新聞のサイト(http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/20070326/20070326_024.shtml)
によると、中国人の強制連行について、「強制連行、強制労働の事実は認められるものの、被告らの法的責任についてはいずれも時の経過により消滅した(除斥期間(民法第724条後段)を適用した。清高注)」として原告の請求をいずれも棄却した。
被害者の救済に道を絶つとして評判の悪い除斥期間であるが(たとえば、人が殺されたときに、加害者が自分の家の土地に埋めたので、20年以上経ってその加害者がわかったときを想起。似たような事例があった)、このような判決が出たときには当然と思われる読者もあろう。確かに法律上はそうだ。しかし、「たとえば」以下の事例で除斥期間を適用するのは不当で、中国人の強制連行については除斥期間を適用するのが妥当だというのは一貫性を欠く(この例では、知っていた、知らなかったという問題はあるが)。除斥期間をどうするか(たとえば、時効であるとするか(信義則の適用に違いがある))は、今後真剣に議論されなければならないだろう。
なお、「この記事、何言ってるの?どっちも不当(除斥期間などなくせ、など)またはどっちも当然除斥期間じゃん」という人は正しい。そういう読者ばかりであることを祈りたい。