毎日.jp「中国人強制連行訴訟:福岡訴訟 中国人訴え棄却 高裁、1審支持
」(http://mainichi.jp/select/jiken/news/20081021ddm041040013000c.html)
によると、中国人の「強制連行の事実と被告の不法行為を認める一方で時効や除斥期間を理由に請求棄却した1審判決を追認」したという。
強制連行は、中国人の場合と、朝鮮人(韓国と北朝鮮)の場合があるが、前者については、裁判所が認めたということである。なお、後者については、勉強も取材もしていないので、コメントは差し控える。
こういう事件があると、除斥期間(民法第724条によると、「不法行為の時から二十年」)があるのが妥当だと感じる人もいるかもしれないが(除斥期間の規定がなければ、請求が認められる可能性が高いから)、そう感じた人が、たとえば、日本で、殺された遺族の立場に立って、除斥期間で訴えを退けた事件を見て憤慨する、ということはないのだろうか(もしそうなら矛盾の可能性あり)。
除斥期間があるので一律に適用するのが原則と考えるか、除斥期間と解釈するのが問題とするかについては、考察の余地があるだろう。
私は、講学上の除斥期間ではなく、時効とし、信義則(民法第1条第2項)などの一般条項を用いて妥当性を図った方がいいと思うが(このような説はある)、理論的、比較法的裏づけがないので、ダメなんだろうな。