今日の読売新聞朝刊1面など(仙台では)によると、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央本部土地・建物の移転登記について、東京地方検察庁特別捜査部は、元公安調査庁長官、元不動産会社社長、元会社役員の3人を逮捕したそうだ。
報道によると、逮捕容疑は、土地・建物について刑法第246条第1項の詐欺容疑だそうだ。
これは意外だった。記者会見等を見聞した限りでは、朝鮮総連が企んだ詐害行為(民法第424条)だと思ったが、なんと朝鮮総連が被害者の詐欺事件だなんて。
たしかに、上記の読売新聞のように、「移転登記が行われた時点で、詐欺罪は既に成立している」(大審院判決大正11年12月15日刑事判例集1巻763頁。西田典之『刑法各論』(弘文堂法律学講座双書)参照)。しかし、現実には朝鮮総連(厳密に言えば、朝鮮総連の関連団体。朝鮮総連は権利能力なき社団なので、朝鮮総連名義で登記はできない)側に登記が戻っているので、逮捕までする実益に乏しいのではないか。
だが、被疑者3名は何らかの報酬を得ているようなので、それを朝鮮総連に返還しない限り、その報酬についての詐欺罪が成立するかもしれない。もしかしたら、今回の逮捕はそのための逮捕なのだろうか。